研究課題/領域番号 |
20K01589
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
人見 光太郎 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (00283680)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 単位根検定 / 逐次検定 / AR(p)過程 / 拡散近似 |
研究実績の概要 |
本研究は経済時系列への統計的な逐次解析の手法を使った方法を開発し解析を行なうことである。通常の統計解析ではすでに得られたデータをもとに統計的な解析を行なうが、逐次解析では次々とデータが入ってくる状況でできるだけ速く、正確な統計的な決定を行なうことを目的とする。経済時系列への逐字的な統計手法の導入によって早期の金融バブルの検出が可能になることが期待できる。 2021年度は2020年度に行ったAR(1)過程での単位根の逐次検定をAR(p)過程へ拡張した。推定したAR(p)係数と停止時の同時分布を導出し、推定したAR(p)係数を使った検定、停止時の分布を使った検定、その2つを組み合わせたものを考察し、各検定の帰無仮説、局所対立仮説のもとでの検定量の漸近的な性質を明らかにした。またコンピュータシミュレーションを使い小標本での特性も調べたが、漸近分布で十分に近似できるものであることを確認した。 係数を使った検定と停止時の分布を使った検定の特性の違いは、検出力では推定したAR(p)係数を使った検定が優れているが、停止時の分布を使った検定の方が早く統計的推論ができることを示した。 この結果は査読付きの国際雑誌である Advanced in Econometrics に投稿し受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りAR(1)過程での結果をAR(p)過程に拡張することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は研究を2つの方向に拡張することを予定している。一つの方向はこれまでAR過程の単位根の検定を考察してきたが、その手法を分岐過程の臨界性の検定に応用することである。分岐過程は伝染病の拡散の研究にも使われ、臨界性を逐次的に検定することによってできるだけ早く伝染病が拡散し続けるか収束するかを判定できるようにする。 もう一つの方向は研究計画書にも記載した逐次解析を使った和分過程の和分次数の探索である。定常過程を I(0)、単位根を一つ持つ時系列を I(1)、単位根を 2 つ持つ時系列をI(2) と呼ぶが、観察している時系列がどれにあたるのかをできるだけ早く正確に知りたいという問題を考え、逐次解析を使った探索方法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表を予定していた海外で開催される国際学会がコロナウィルスの流行のため延期となったためにその分の旅費を使用することができなくなったため。 次年度使用額は延期になった国際学会で次年度発表するための旅費に使う予定である。
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