研究課題/領域番号 |
20K01590
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西埜 晴久 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (20305410)
|
研究分担者 |
各務 和彦 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00456005)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 所得分布 / 経済統計 / 計量経済学 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は、厚生労働省から貸与を受けた国民生活基礎調査の個票データの分析を主に行った。固定長形式のデータであったので、数字を読みだすことに手間がかかったけれども、その手法を習得することができたので、基本的なデータを収集することができた。その中でも所得データを中心に分析を行った。 まずは、個票データの所得のうち、世帯の総所得、等価所得、可処分所得、等価可処分所得を求めた。平均所得およびジニ係数を計算した。特に、分析の対象とした1992年から2022年の期間は一貫して世帯のサイズが縮小している。当該期間においては総所得は減少しているが、それは世帯のサイズが小さくなっている影響もあるため、世帯のサイズを考慮した等価所得についても分析した。なお、等価所得とは総所得を世帯の人員数の平方根で割ったものである。また、税金および社会保険料の影響を加味した可処分所得と等価可処分所得についても数字を求めた。所得だけでなく世帯の資産についても調べたが、こちらは実情を把握できてはいないようであった。さらには、所得分布に当てはまるパラメトリックな分布を当てはめて、ベイズ的な手法で推定を行った。他には、健康意識を応答変数とする順序ロジスティックモデルの推定をおこなったが、これはまだ試行的な段階にとどまっている。また、グループデータからのジニ係数の動的なモデルのベイズ推定の研究および所得不平等度の分解などのテーマで研究を行っている。 なお、これらの研究成果は統計関連学会連合大会、日本保険・年金リスク学会、Computational and Financial Econometricsなどの学会で報告を行った。他にも研究集会では、中央大学、北海道大学、明治学院大学にて研究報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
厚生労働省の国民生活基礎調査のデータは固定長形式のデータであるため、そのデータの読み込みと整理に意外に時間を取られてしまった。そのため進捗状況がやや遅れている。しかし、現在ではデータの読出しの方法が確立できたので、今後は分析がスムーズに進められるであろう。 さらには、ベイズ推定のモデルの研究がまだ途中で完了してないので、完了し次第、速やかに論文としてまとめ、学術誌に投稿する。
|
今後の研究の推進方策 |
厚生労働省の国民生活基礎調査の個票データを用いた所得分布のモデル分析がまだ終わっていないので、引き続き分析を行う。所得と健康データとの関連をもう少し調査していく予定である。また、これまでの研究の成果を海外の学会および研究会においても報告を行う。その後、論文にまとめ学術誌へ投稿を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年までの新型コロナ感染症のため研究が遅れていたところに、本年度は個票データの読出しなど分析に時間を要したため、残額の研究費を用いて引き続き分析を行う。
|