研究課題/領域番号 |
20K01592
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
鹿野 繁樹 大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (80382232)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | データ欠損 / IPW / 定式化の検定 |
研究実績の概要 |
本研究の第一の目的は、パネルデータ分析において、バイアスの補正を推定すべきかどうかを判断する定式化の検定を開発し、実証分析に応用することである。それと平行して、バイアスの補正をかけた状態で、伝統的な定式化検定をおこなった場合の検定統計量の振る舞いを分析する。第二の目的は、パネルデータ分析における標本選択問題に対し、データ欠損の新しいアプローチによる解決法の開発と応用である。 本年度は主に、パネルデータ分析の前段階として、クロスセクションデータにおける欠損データに関し、競合する補正方法を比較する定式化検定を開発し、モンテカルロシミュレーションと実際のデータへの応用をおこなった。比較する補正方法はIPW、回帰調整、二重頑健推定であり、一定条件のもと、回帰調整が最適であることが理論上示される。そのうえで、回帰調整の定式化の誤りに関し検定力をもつモーメント条件を導出した。そしてそのモーメント条件を検定にかける手段として、Wooldridge (1991)の条件付きモーメント検定(CM)の枠組みを適用した。 実証分析のパートでは、OECD が実施した The Programme for the International Assessment of Adult Competencies (PIAAC)の日本人サンプルを用い、「ITを活用した問題解決能力」の平均値の推定問題で生じた欠損問題を扱った。 この研究成果は、今年度行われた二つの研究会で報告済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定式化の検定に関する研究は、予定より早く進めることができた。しかしながらコロナ禍の影響により、学会や研究会への出席が困難になった。また、所属大学の感染予防のための封鎖などにより、データ分析の補助員の雇用およびトレーニングが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、まず、本年度滞った、データ分析補助員の雇用とトレーニングを行いたい。そして研究計画に従い、今年度得られた成果を、パネルデータ分析におけるデータ欠損に適用するための統計理論的な研究とデータ分析を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、物理的な移動を伴う出張が制限されたため、次年度使用額が生じた。この部分は、次年度の通信費や旅費にあてたい。
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