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2021 年度 実施状況報告書

Aitchison幾何学とNash交渉解による離散選択モデルの精緻化

研究課題

研究課題/領域番号 20K01595
研究機関国際基督教大学

研究代表者

金澤 雄一郎  国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50233854)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードNash Bargaining / Price pass-through / Strategic interaction / Bayesian estimation / Markov Chain Monte Carlo
研究実績の概要

(研究1)の「研究の目的」では、流通チャンネルごとのマニュファクチャラー対リテイラーの戦略的な行動をNash Bargainingを用いてモデル化し、チャンネルごとの競争状態を構造モデルによって表現する手法を提案し、実証研究を行うとした。さらにこの研究は2015~18 年度基盤(B)「合理的に行動する生産者と非合理的な消費者パラダイムの実証産業組織論における検証」を発展させたものになるとした。このため交付申請書に記載した「研究実施計画」では Draganska, M., Klapper, D., & Villas-Boas, S. B. (2010). A larger slice or a larger pie? an empirical investigation of bargaining power in the distribution channel. Marketing Science, 29(1): 57-74を参考にするが、この論文で仮定したマニュファクチャラーが要求し、リテイラーと合意した卸売価格を小売価格に転嫁することはないという仮定を緩めること、またマニュファクチャラーが小売価格の変動を観測することがない、すなわちretail price unobservability という仮定も緩めることを提案した。
2021年度に研究を進め、原材料高騰などにより製造原価が高騰するなかで、卸売価格をめぐってマニュファクチャラーとリテイラーが交渉を行う場合、卸売価格の高騰をリテイラーが消費者に価格転嫁(Price Pass-through)を行うことを許す経済学的なモデルを導出し、小売りデータを用いた実証例を示した。これにより両者の交渉力をはかるパラメータのみだけではマニュファクチャラー対リテイラーの真の力関係を測ることはできないことを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した「研究の目的」の(研究1)、すなわち「より精密でニュアンスに富んだ解析を可能にするため、メーカー対リテイラーごとの戦略的な行動をナッシュバーゲニングを用いてモデル化し、チャンネルごとの競争状態を構造モデルによって表現する手法を提案し、実証研究を行う」とした。昨年度の結果をさらに進め、リテイラーによる卸売価格上昇分の小売価格への転嫁を含めた、よりニュアンスに富んだ流通チャンネルごとの力関係を記述するモデルを導出し、そのベイジアンデータ解析のアルゴリズムを提案し、現実のデータへの適用可能性についても示すことができた。

今後の研究の推進方策

交付申請書に記載した「研究の目的」の(研究2)では、離散選択問題の基礎に立ち返り、より相応しい幾何学のもとでのモデルの理解とそれに整合的な推定手法の提案をするとした。今後はこの問題に焦点を当てて集中して研究を行う。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19により依然として国際コンフェレンスへの参加が不可能であったため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Situating zoonotic diseases in peacebuilding and development theories: Prioritizing zoonoses in Jordan2022

    • 著者名/発表者名
      Jaclyn McAlester and Yuichiro Kanazawa
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 17(3) ページ: Online

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0265508

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] PC 用日本語版アイオワギャンブル課題の開発と英語版との同等性2022

    • 著者名/発表者名
      遊間 義一, 金澤 雄一郎, 河原 哲雄, 東條 真希, 荻原 彩佳, 石田 祥子
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 93(2) ページ: 掲載決定

    • DOI

      10.4992/jjpsy.93.20232

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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