研究実績の概要 |
(最終年度に実施した研究の成果)昨年度まで研究はおおむね予定通り進展したものの、コロナ禍などの影響で海外での学会発表を行うことができなかった。最終年度においてはこれまでの結果を論文としてまとめ、学会誌へ投稿した。その後、改訂の要求があり、さまざまな修正や拡張をを行なった。本研究に関して国内外の研究者と議論を行い発展させるために学会(Econometric Society European Meeting in Barcelona, Spring Econometrics Forum)や海外の大学(University of Arizona)で研究発表を行なった。 (全体を通じて実施した研究の成果)本研究では、回帰モデルにおける形状制約の中から単調性に注目し、単調性のもとでの推定、検定の理論の開発を行なった。特に不均一分散の状況で誤差項の分散が一部もしくは全ての説明変数に単調に依存する場合に回帰係数を効率的に推定する方法、適切に検定を行う方法を提案した。そのために分散の単調性を用いた一般化最小二乗法(Generalized Least Squares, GLS)推定量を提案した。GLS推定においては、一段階目では、まず通常の最小二乗法に基づく残差と説明変数を用いてIsotonic回帰によりノンパラメトリックに分散函数を推定する。二段階目にをおいて推定された分散函数を重みとしたセミパラメトリックなGLS推定を行う方法を提案した。提案されたGLS推定量が漸近的にセミパラメトリック効率性を持つことを経験理論を用いて証明した。シミュレーションを行い有限標本においても望ましいことを持つことも示した。また提案された推定・検定の理論を用いて高齢者比率の指標と一人当たりのGDPとの関係をいくつかの経済状況をコントロールした上で検証した。
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