研究課題/領域番号 |
20K01601
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
Pandit Ram 北海道大学, 農学研究院, 招へい教員 (00865355)
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研究分担者 |
齋藤 陽子 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (30520796)
近藤 巧 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40178413)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ネパール / 生態系 / 冠水耐性稲(SUB1) / メンテナンスリサーチ / 生物多様性 / バッファーゾーン政策(BZ) / COVID-19 / チトワン国立公園 |
研究実績の概要 |
研究期間全体における研究成果は、以下の通りである。 1.生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォーム(IPBES)の報告書に対応する昆明・モントリオール生物多様性枠組みについて、学術的な意義を解説した。 2.国際共同研究として、ネパール・チトワン地区で農家世帯調査を実施し、冠水耐性稲(SUB1)の採用要因を明らかにした。採用率の異なる2つの地区から農家世帯を無作為に抽出、SUB1品種の採用を比較した結果、農協や投入資材へのアクセスがある世帯は、採用率が高かった。冠水耐性稲は病害虫への耐性が弱いことから、防除費用をカバーできる世帯および農協から新品種の技術情報が得られる世帯ほど、採用することが明らかとなった。チトワン地区では農協が情報提供のハブとして機能しており、補助金の申請も農協を通して実施される。農家の、農家組織へのアクセスを充実させることが重要である。 3.チトワン国立公園では、国立公園の保護による負の影響(鳥獣害)を軽減するため、隣接地区に職業訓練などを実施し、所得獲得機会の増加を目指すバッファーゾーン(BZ)政策が進む。本課題では、隣接世帯から、訓練を受けた世帯と受けていない世帯を抽出して農家世帯調査を実施、政策の成果を評価した。傾向スコアマッチングによる分析の結果、BZの中の世帯は、外の世帯に比べて平均で19%、所得が高かった。また、複数ある訓練のうち、観光分野の訓練を受けた世帯は、所得が52%増加していた。BZ政策による職業訓練の介入効果が大きく、世帯の所得増加に貢献したことが明らかとなった。 4.COVID-19による農家所得への影響を分析した。COVID-19は、世帯の状況によって異なる影響をもたらし、貧困層ほど負の影響が大きいことが分かった。将来、同様の経済ショックがある場合に備え、セーフティネット、とりわけ貧困層に対する対策が重要である。
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