研究課題/領域番号 |
20K01607
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
樹神 昌弘 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (20450512)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 労働者送金 / 経済成長 / 開発途上国 / 動学一般均衡モデル |
研究実績の概要 |
開発途上国における経済成長モデルを前提としながら、次の3つのタイプの経済モデルを構築した。1)標準的なラムゼイモデル、2)Learning-by-doing(LBD)モデル、3)Keeping-up-with-Joneses(KUJ)モデル。 また、フィリピン経済を参考にしながら、モデルのカリブレーションを行い、パラメータの値を設定した。 これらのパラメータ、経済モデルの下で、シミュレーション分析を実施した。その結果、パラメータの設定によっては、送金が経済成長を引き起こすことが分かった。その一方で、比較的広い範囲のパラメータの値において、送金が経済成長を引き起こすという結果にはならなかった。このことは興味深い結果でもある。比較として、借入のことを考えてみる。借入の場合には、現在の大きすぎる借入は、将来の大きな返済につながる。このため、現在の借入は、将来の負担になる可能性もある。これに対して、送金の場合には、無償で受取り手に与えられるという状況を前提としている。この場合には、送金が受取り手によって有効に活用されれば、経済成長が誘発され易い状況にあると推測される。それにも拘わらず、経済モデル上では、送金は必ずしも経済成長を誘発しないのはなぜだろうか。この点について、複数のシミュレーションを実施しながら、考察を進めている。また、経済モデルの違いに加えて、送金の受け取り方の違いについても考察した。 これらの分析を行いながら、今後は送金受取国の有識者との議論を深める予定である。それらの議論に基づき、経済モデルの改良を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスによる影響のために、外国出張が困難な状況が続いていた。このため、外国の研究者との意見交換が進まず、研究が停滞していた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年以降については、外国出張についての状況は大きく改善されたため、研究の加速が期待できる環境になりつつある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスによる影響のために、外国出張が困難な状況が続いた。状況が改善されつつあるため、外国出張を実施する。
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