研究課題/領域番号 |
20K01612
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
秋山 太郎 新潟県立大学, 国際経済学部, 教授 (40167854)
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研究分担者 |
塚田 尚稔 新潟県立大学, 国際経済学部, 准教授 (70599084)
石塚 辰美 新潟県立大学, 国際経済学部, 教授 (50600425)
荒井 恒宣 新潟県立大学, 情報基盤センター, 助教 (30793187)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イノベーション / 共同R&Dネットワーク / 引用ネットワーク / 中国経済 |
研究実績の概要 |
(1)昨年度までに構築したセンサスデータと特許データをリンクしたデータベースには、特許の引用データが含まれていなかった。このデータベースに、PATSTATバージョン5.15の特許引用データをリンクさせ、引用ネットワークの構築を行った。ネットワークは、引用リンクの少なくとも1つのノードは中国の組織であり、いずれのノードも個人ではないように構築された。構築された引用ネットワークには316,785件の特許が含まれており、115,456件が17,684社の中国企業によって出願されている。17,684社の中国企業のうち、ASIEに含まれている企業は8,382社である。 (2)求めた引用ネットワーク上の企業の特性を示す尺度として、ハイパーリンク誘導トピック検索(HITS)アルゴリズムの権威値(Authority)、ハブ値(Hub)である。権威値(Authority)、ハブ値(Hub)は対となる概念であり、グーグルページランクと類似の考え方による尺度である。権威値が高いノードは多くのハブ値が高いノードから引用されているノードであり、ハブ値が高いノードは多くの権威値が高いノードを引用しているノードである。すなわち、権威値が高いノードは優良な情報の発信元であり革新性が高い組織であり、ハブ値が高いノードは優良な情報の吸収先であり、既存の知識の吸収力が高い組織であると考えることができる。 (3)企業のパフォーマンスの1つの尺度として、ASIEのデータからFarrell効率性を求め、引用ネットワーク上の企業特性としての企業のパフォーマンスとの関係を分析した。その結果、権威値は生産の効率性に対して有意な正の効果があり、ハブ値は有意な効果はないという結果が得られた。これは、優れた知識の発信元である革新性が高い企業は、生産の効率性で測ったパフォーマンスが良好であることを意味している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に行った中国企業の共同出願ネットワークに加え、本年度は引用ネットワークの構築を行い、企業のパフォーマンスとの関係の計量分析にも着手するなど、研究の作業自体での面ではほぼ予定通り進んでいる。ただし、新型コロナ等の影響により、海外研究協力者との研究打ち合わせや学会報告などが当初の計画通りにはいかなかったことがあり、得られた結果を論文の形にまとめることが遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)中国企業については共同出願ネットワーク、引用ネットワークの構築、センサスデータとの接続作業は終了し、実証分析に必要な変数は全て得られており、企業のパフォーマンスへの影響の計量分析もほぼ終了している。2022年度にまず行うべきことは、これらの結果を論文とすることである。 (2)中国企業について残されている問題としては、共同出願ネットワークと引用ネットワークの比較であり、これについて今年度に作業を進める必要がある。 (3)さらに。中国と日米との比較のために、今後日米についてのネットワークにつてもPATSTATのデータを利用して構築作業を行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症のため、学会出張や海外渡航・招聘が不可能となり、旅費支出が予定っどりできなかったことが次年度使用額が発生したことの大きな原因である。 今年度は、昨年度予定していた学会出張や研究打ち合わせを今年度行うことに計画を変更して使用を行う。
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