研究課題/領域番号 |
20K01613
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中山 徳良 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90278854)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 需要の価格弾力性 / 水道水 / パネル分析 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、わが国における水道水の需要の価格弾力性を計測することと、需要者の節水行動によりどの程度水需要へ影響が及ぶのかを明らかにすることである。 今年度も昨年度に引き続き、わが国における水道水の需要の価格弾力性を計測するため、パネルデータを用いて水道水の需要関数の推定を行った。昨年度は動学的パネル分析を行ったが、問題点もあったため、今年度は通常のパネル分析を行った。2015年度から2020年度までの市町村営の末端給水事業者のパネルデータを作成し、推定を行っている。水道事業者のデータは「地方公営企業決算の概要」から入手した。 推定に用いた変数は以下のとおりである。被説明変数である水道水の需要量は、一人当たり有収水量とした。説明変数は、価格、所得、一世帯当たりの人員、高齢化率とした。価格には給水収入を有収水量で除した平均価格を用い、所得には課税所得総額を課税人口で除した一人当たりの課税所得を用いた。高齢化率については、65歳以上人口を全人口で除したものを用い、一世帯当たりの人員については、世帯人員を世帯数で除したものを用いている。 需要関数の推定の結果、需要の価格弾力性は0.046から0.041、需要の所得弾力性は0.042から0.068であることが示された。また、65歳以上人口比率は需要に対しプラスの効果、一世帯当たり人員数はマイナスの効果を与えることが示された。今回の推定で得られた価格弾力性と所得弾力性の数値は、先行研究と比較すると低い値となっていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度までに分析を終了する予定であったが、業務が多忙であったため、アンケート調査による分析ができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度には、水需要に関するアンケートを行い、それに基づいて水道水の需要関数の推定を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画と比べて研究の進捗状況が遅くなっているためである。特に多額の費用がかかる水需要についてのアンケート調査を行っていないことが原因である。2023年度はそのアンケート調査をするために使用する計画である。
|