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2023 年度 実施状況報告書

都市集積における地域文化と労働力の多様性の持続可能性:空間経済学的分析

研究課題

研究課題/領域番号 20K01616
研究機関亜細亜大学

研究代表者

猪原 龍介  亜細亜大学, 経済学部, 教授 (20404808)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード空間経済学 / 通勤費用 / テレワーク / 生産性 / 情報と文化
研究実績の概要

これまでの研究成果をRIETIのディスカッションペーパーとして公開したうえで、学術誌へ投稿しているところである。
COVID-19のパンデミックをきっかけとして、日本でもテレワークや在宅勤務といった新しいワークスタイルが普及してきた。このような変化は、労働者の居住地や就業地の選択にどのような変化を与えるだろうか。本研究では空間経済学の2地域モデルに地域間通勤費用を導入することで、テレワークの導入に伴う通勤費用の低下が都市構造に与える影響を分析した。テレワークの普及は就業地でない地域からの通勤を容易にすることで、居住地の分散化を促すことになる。このことは集積の不経済の発生を抑えることになるため、雇用は都心に集中することになる。また、通勤を伴う集中化構造において社会厚生が最大化されることも示された。
続いて、以上の枠組みを日本の都市雇用圏に当てはめ、都心を地域1、郊外を地域2として労働分布についてのシミュレーション分析を行った。キャリブレーションにより現実の居住分布を説明する地域間通勤費用と製品輸送費用の値を求めた上で、テレワークの効果として通勤費用が低下したとする。シミュレーションのケースとして以下の3通りのパターンを用意した。(1)2018年から2020年にかけた通勤費用の低下が起きた場合を想定。(2)テレワークにより都心の生産性が低下することが指摘されているので、通勤費用の低下に加えて限界投入量が1%上昇した場合を想定。(3)郊外居住の拡大にともない、都心に蓄積されている情報や文化の郊外への伝播にともない、郊外の生産性が上昇することが考えられるので、郊外地域の限界投入が1%減少した場合を想定。以上のケースについて、人口100万人以上の都市雇用圏の居住と雇用の変化について検証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍を経てテレワークが普及したことに伴い、雇用や居住地の選択に大きな影響が出ていることを考慮する必要が生じたため、研究が当初の予定からやや遅れている。

今後の研究の推進方策

Krugmanの自己組織化モデルやSchellingの分居モデルといったマルチエージェント・シミュレーションの手法を取り入れることで、地域文化の形成や創生に関する分析を進めているところであり、研究成果をまとめていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍への対応に伴い研究がやや遅れたことで、学会報告が遅れるなどして研究費の使用が遅れているため。繰り越した研究費は、マルチエージェント・シミュレーションの計算処理に対応したパソコンの購入や研究成果を報告するための学会参加などに当てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Returning to the City Center: The spread of teleworking and urban structure2023

    • 著者名/発表者名
      Ryusuke Ihara
    • 雑誌名

      RIETI Discussion Paper Series

      巻: 23-E-064 ページ: 1-21

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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