引き続き、都市・地域経済分析に有用なGISと空間統計・空間計量経済分析ツールの連携・活用法の開発に取り組んだ。路線価データを用いて、地震リスクを軽減する都市防災整備の経済効果を分析した。対象地域は東京都、地震リスク指標には「地震時等に著しく危険な密集市街地(危険密集市街地)」(国土交通省)を用いた。危険密集市街地境界における地震リスクの不連続性に着目し,空間回帰不連続デザインを用いて危険密集市街地の解消が地価に与える影響を推定した。その結果、危険密集市街地の解消には、保守的な推定値で5.2%地価を上昇させる効果のあることを示した。研究成果を The American Real Estate and Urban Economics Association and the Asian Real Estate Society Joint Conference、日本経済学会、地理情報システム学会、応用地域学会等にて報告した。 都市・地域経済分析に有用なGISの基本ツールと空間データを解説した教材(ArcGIS Pro対応)、および事例形式でGISの基礎と応用を学べる教材(QGIS、R言語、GeoDa対応)を作成し、2冊のGISテキストを上梓した。補助教材をオンラインGIS教材サイト(https://sites.google.com/view/gis-online-learning/)に追加し、日本経済学会のチュートリアルセッションや学部・大学院の授業等で活用した。 研究期間全体を通じて、(1)都市・地域経済分析におけるGISと空間統計学・空間計量経済学の分析ツールの効果的な連携・活用法の開発、(2)その活用法を応用した都市・地域経済分析、(3)GISと空間統計・空間計量経済分析ツールの活用法の教材の開発を行った。研究成果を国内外の学術誌、学会や研究会、ウェブページ等で広く発信した。
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