本研究課題においては顧客情報を利用した継続的な企業間競争をゲーム理論とミクロ経済理論の観点から分析した。昨今の情報技術の進歩により、企業は顧客の購買履歴に関する情報を有効に利用してビジネスを行なう。新規顧客に対しては、既存顧客とは異なる低価格に設定し囲い込もうとする。このような価格差別を他の戦略と組み合わせて用いることでどのような企業間競争が生じるのかを明らかにした。より具体的には、差別化された企業間の複占市場の継続的な契約問題について分析結果を得た。また、顧客の奪い合いにより生じる消費者のスイッチングコストや広告戦略を考慮した価格差別の影響を分析し、企業利潤はいつ上昇するのかを解明した。
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