研究実績の概要 |
本研究の目的は、NOx・PM法に基づいて導入された車種規制の政策評価に向けて、車種規制の経済的便益を測定し、その経済的便益の発生メカニズムを明らかにすることである。そのため、以下の3つの研究課題に取組んでいる: 課題1:大気質改善に対する支払意思額(Willingness to pay: WTP)の推計 課題2:大気質の改善がもたらした健康上の利益 課題3:資本化のメカニズムの解明 課題1では、ヘドニックモデルに基づき、車種規制による大気汚染の改善が住宅用地価に資本化された度合いを推計し、その推計値をもとに車種規制の経済的価値を計算した。分析には、公示地価個別地点レベルの年次パネルデータを用いた。研究成果は、Willingness to pay for clean air: Evidence from diesel vehicle registration restrictions in Japanとして論文に纏め、学会や研究会等で発表した後、2021年5月に国際学術誌「Regional Science and Urban Economics」に掲載された。課題2では、車種規制による大気汚染の改善が出生時体重に与えた効果を推計し、その推計値をもとに車種規制がもたらした健康上の便益を数値化した。分析には、出生動向調査の個票データを用いた。研究成果は、Effects of Low Emission Zones on Air Quality, New Vehicle Registrations, and Birthweights: Evidence from Japanとして論文に纏め、現在、国際学術誌による審査を受けている。
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