研究実績の概要 |
2022年度は、研究成果を纏め、独立行政法人経済産業研究所のディスカッションペーパー(タイトル:Effects of Low Emission Zones on Air Quality, New Vehicle Registrations, and Birthweights: Evidence from Japan)として発表した。また、本研究の内容を政策担当者向けに日本語で要約したノンテクニカルサマリーを同研究所から発表した。研究期間全体を通じて実施した研究成果は、国際査読誌への掲載が2本、ディスカッションペーパーの出版が2本、国際学会での発表が4回、および国内学会の発表が3回である。本研究では、車種規制(1992年に制定されたNOx・PM法の主要施策で、排出基準を満たさないディーゼル車の登録を規制対象地域において禁止した政策)の便益を明らかにすることを目的とし、大気質改善に対する支払意思額の推計、大気質改善がもたらした健康上の便益の推計、便益を生み出すメカニズムの解明に取り組んだ。本研究では、車種規制が、大気汚染の改善を通して、住宅用地価、人口移動、乳児死亡率に及ぼす影響を定量的に明らかにし、車種規制の便益とそのメカニズムを明らかにした。本研究で得られた知見は環境経済学の発展に寄与し、我が国における証拠に基づく政策立案(Evidence-Based Policy Making: EBPM)の推進にも寄与した。
|