研究課題/領域番号 |
20K01626
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
小島 健 創価大学, 経済学部, 准教授 (60754827)
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研究分担者 |
林 嶺那 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (60846236)
森川 想 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10736226)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不正 / 経済実験 / 公務員 / 公民比較 / リスク態度 / コミットメント |
研究実績の概要 |
スリランカの公務員およびバングラデシュの学生・公務員を対象に実験を実施した。また、インドおよびアメリカを対象にインセンティブ付オンラインアンケートによる実験を実施した。上記より、以下のことが明らかとなった。1.汚職指数が高い発展の方が汚職指数が低い先進国よりも不正直行為が観測されるということはない。2.コミットメント機会によって一定程度不正を抑制することが可能である。3.一方で、ナッジによってコミットメント機会に誘導したとしても、不正を抑制する効果はない。 1.は、サイコロ実験やコインフリップ実験といった不正直度合いを測る実験が、汚職指数と相関するという先行研究と異なる結果となった。これは大変に興味深く、不正直さと汚職が直接関係しない可能性を示唆する。 2.はコミットメント機会がいずれの国でも不正を抑制する効果があることを示唆する。 3.ナッジによる不正防止には限界があり、不正抑制のためには意識的な選択をもたらく制度設計が必要であることを示唆している。 研究期間全体では、上記の結果に加えて、以下のことが明らかとなっている。1.公務員志望の学生は公務員志望プライミングをすることで、大きな嘘をつかなくなる一方で、小さな嘘をつくようになる。2.公務員は民間企業に勤める人よりも不正をしない。3.民間企業に勤める人は自身のためには不正をして利益を得る一方で、他人のためには不正をしないが、公務員は自身のためと同程度に他人のために不正をして、他人の利得を増やす。4.公務員は民間企業に勤める人よりも4次の意味でリスク回避的である。つまり、テイルリスクを嫌う。1.2.4.は論文としてまとめ、学会で報告をしている。他の分析結果についても逐次論文としてまとめあげ、報告していく。
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