研究課題/領域番号 |
20K01639
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
野田 英雄 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 教授 (90347724)
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研究分担者 |
殷 勇 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (50344776)
伊藤 嘉浩 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (60436235)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インフラ整備 / 経済成長 / 社会厚生 / 課税方式 / 高齢化 |
研究実績の概要 |
日本では人口高齢化の進行に伴って財政運営が厳しさを増す一方で、インフラの老朽化が急速に進んでいる。こうした状況下で、インフラの維持管理・更新をいかに実行していくべきか。これは日本が直面する重要な課題といえる。本研究の目的は、動学的一般均衡モデルの観点から、望ましいインフラマネジメント政策の理論的基礎付けを行うことである。2020年度の上半期はインフラ整備と経済成長に関する先行研究のサーベイを中心に行った。それを踏まえ、2020年度の下半期はプロトタイプのモデルを構築した。本研究のモデル分析では、インフラ整備の財源として直接税・間接税の中から3つの選択肢を考え、経済成長と社会厚生の両面からどのような財源が望ましいかを理論的に考察した。とくに、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、経済活動が世界的に停滞し、その影響が長期間にわたることを想定し、政府が低い経済成長率を目標とせざるを得ない場合の税選択を検討した。主要な分析結果は以下の通りである。政府が1%未満の低い経済成長率を目標とするとき、売上税は所得税や消費税に比べて、高い社会厚生と経済成長率を達成することができる。また、高齢化の進展に付随して、所得税と消費税は社会厚生が減少していくのに対して、売上税を用いると社会厚生が増加していき、売上税による社会厚生が所得税と消費税の場合よりも高くなる。加えて、技術進歩がおこった場合も、売上税が最も高いレベルの社会厚生を達成する。このため、低成長下におけるインフラ整備の財源として、売上税は所得税と消費税よりも適していることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はコロナ禍でのオンライン授業対応に多大な時間と労力を要した。また、研究分担者もコロナ禍における種々の対応で多忙を極め、研究打合せの機会も少なくならざるを得なかった。そのような状況下で、研究計画1年目に基本モデルの構築まで何とか漕ぎ着けることができ、おおむね順調に進展しているとみなせる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、研究分担者とのディスカッションを重ね、基本モデルを改良する。また、構築したモデルに基づくシミュレーションにより、種々の政策効果を比較・検討する。2021年度中に論文を取り纏め、学術誌へ投稿することを目標に研究を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において学会参加や研究分担者の所属大学へ出張しての打合せを中止せざるを得ず、次年度使用額が生じた。
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