本研究では、労働組合員の意識調査データを用いて、労働組合活動が活発な企業において、正社員男女間の男女格差意識が小さくなること、組合活動の中でも男女格差の縮小を目指すような内容のものが活発である場合は、実際の男女間賃金格差が小さくなることを示した。また、同じデータを用いて、労働組合ごとに計算された組合活動レベルに対する組合員の評価の平均値が高いほど、組合員個人のウェルビーイングが高くなることが示された。さらに、そもそも労働組合が存在する企業においては、そうでない企業と比べて30歳正社員総合職の賃金格差が小さくなることや、生産性が高くなることが、内生性を考慮した上で示された。
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