研究課題/領域番号 |
20K01643
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
中泉 拓也 関東学院大学, 経済学部, 教授 (00350546)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 規制の事前評価 / EBPM / 因果推論 |
研究実績の概要 |
本年度は規制の事前評価に関する国際的な制度や方法についてまとめることを中心に研究した。特にEBPMと規制の事前評価との関係について考察した。因果推論の手法は反事実と事実、対照群と介入群、規制の事前評価は実際に規制が導入された場合とされなかった場合両方について、ともに両者を比較するという点で、共通の考え方を持っている。加えて、有効性の検証には、RCT(Randomized Controlled Trial)を含めて、因果推論での研究結果が存在する場合、それが有力な検証方法となる。因果推論は時間や空間を超えた普遍性を持ち、因果関係が検証された場合、規制の導入の根拠の有効性が示されたことになる。その上で、費用が効果に見合ったものであれば、規制の導入が妥当であると判断される。そのため、規制を導入する際にそれと同様のRCTを常に行う必要はなく、類似のEBPMに従った方法などを用いて規制の導入の根拠を示すことで十分である。次に因果推論の正式な方法と経済理論や自然科学で確立された手法以外を用いた方法は、因果関係が十分特定されない、もしくは効果が低いなどの問題が存在することを認識することが重要である。しかしながら、最大の問題は十分な分析ができないから何もしないということである。分析に限界がある場合も、どのような限界があるかを説明しながら、行わなければならない。大雑把な推計でも全く何もしないよりもはるかに問題が明確になり、有益である。例えば、桁が同じだけでも情報量は十分存在する。政策評価においてはその点をまず認識しなければならない。また、一つの完璧な方法がなければ、様々な方法を試すことも有力である。当然、様々な分析結果の加重平均をとることで正しい結論に到る訳ではない。以上のような点について指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、予定していた海外での経済実験ができなかったため。2022年度からは行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
従来の研究の拡張を適宜行うのに加え、規制の事前評価に関する本の出版。バンコクでの経済実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、予定していたバンコクでの経済実験ができなかったため。2022年度及び2023年度に実行予定。
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