研究課題/領域番号 |
20K01649
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
梅崎 創 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済統合研究グループ, 研究グループ長 (80450500)
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研究分担者 |
黒岩 郁雄 新潟県立大学, 国際経済学部, 教授 (40403612)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | GVC / 国際産業連関表 / 参入 / 高度化 / 物流連結性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、グローバル・バリュー・チェーン(Global Value Chain: GVC)への参入・高度化を通じた開発戦略を検証することである。アジアを中心とした新興国の開発経験はGVC参入を通じた開発戦略の有効性の証左となっているが、それら新興国においてもGVCにおける高度化を模索している段階にあり、いまだにGVC参入を目指している低開発国も数多く残されている。これらの政策課題に貢献することを目指して、本研究では、(1)国際産業連関表を用いたGVCへの参入・高度化の計測方法の比較と改善策の検討、(2)同指標に基づくGVCの構造の地域(アジア、北中米、欧州)間比較、(3)ネットワーク分析に基づく物流連結性の計測方法の検討と指標化、などを行い、それらに基づいて、最終的に,(4)開発途上国のGVCへの参入・高度化の決定要因に関する計量分析を行うことを目指している。 (1)のGVC参入指標に関しては,近年の研究動向をレビューした結果,Kuroiwa and Umezaki(2020)において利用したKoopman, Wang, and Wei(2014)の手法ではなく,粗輸出の分解に関する問題に対処したBorin and Mancini(2019)の手法を援用することとし,Rスクリプトの改訂および計算作業を完了し,(2)に着手したところである。(3)については,データ調達が完了し,ネットワーク分析の手法で様々な中心性指標を算出し,その比較検討を行った。現時点までに本研究の最終段階である(4)の準備は整っており,計量分析に入る前に,記述統計に基づく分析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により海外出張ができなくなったため,研究の重点をデータ分析に置くように計画を修正して対応してきたが,テレワーク中心となる中で,データ調達に関する手続きに当初想定以上の時間を要した。 研究の中心となるデータであるEORA-MRIOが,2021年度になって更新され,新しいデータセットが利用可能になったため,それを購入して,計算作業をやり直した。従来は無償提供であったが,今回は有料になったため,予算の組み換え等が必要になり,そこでも一定の時間を要することになった。 Borin and Mancini(2019)のGVC参入指標を算出するにあたって,計算プログラムを大幅に改定する必要があった。計算量が膨大になることが判明したため,京都大学のスーパーコンピュータを利用しながらプログラムの改訂作業を進めることにした。このように通常と異なる計算作業を行った結果,当初の想定以上の時間を費やすことになった。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では,地域間比較や計量分析といった研究の最終段階に入る準備は整っているため,ここから着実に研究を進めていくことで,当初目標の達成は十分に可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により出張に行けていないため。
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