研究課題/領域番号 |
20K01654
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
後藤 純一 神戸大学, 経済経営研究所, 名誉教授 (70234987)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国際貿易 / 外国人労働者 / 国際労働経済学 |
研究実績の概要 |
本研究は、2016-2019年科研「TPP協定が日本の外国人労働者問題に及ぼす影響の国際労働経済学的分析」の続編をなすものである。2016-2019年科研がTPPという1事象をとらえた研究であったのに対し、本研究は、ヨーロッパ、アメリカ、アジア等におけるさまざまな国際協定を包括的にとらえた分析で、研究対象が大幅に拡大されているのが特徴的である。本研究では、次の5点を明らかにする。①TPP、日EU経済連携協定、日米貿易協定などの国際経済環境の変化によって、わが国をとりまく貿易(モノの移動)パターンはどのように変化するのか、②モノの移動パターンの変化によって、環太平洋地域およびヨーロッパにおける国際労働移動(ヒトの移動)パターンはどのような影響を受けるのか、③環太平洋地域およびヨーロッパにおける国際的なヒトの移動パターンの変化により、日本の外国人労働者流入はどのように変化するのか、④外国人労働者流入の変化は日本にどのような経済的・社会的効果をもたらすのか、⑤上記の分析結果を前提として、わが国の外国人労働者受入れ政策はどうあるべきか。本研究は上述の5つの点を明らかにするため次の4つの段階に分けた研究スケジュールに基づいて実施する。(第1段階)文献サーベイ、関係者ヒヤリング等を通じての定式化事実(stylized facts)の抽出、(第2段階)内外の研究者・実務家と討議しながら予備的仮説形成・暫定的検証、(第3段階)CGEモデルを構築しての総合的な理論的・実証的分析、(第4段階)研究成果のとりまとめと普及、政策提言。令和2年度には、上記の第1段階を中心に研究をおこなった。しかし、新型コロナウィルスのパンデミック的感染により、旅行や面会が厳しく制限されることとなり、対面でのヒヤリングは事実上不可能であった。このため、文献サーベイ等が中心となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度には、上記の第1段階を中心に研究をおこなった。しかし、新型コロナウィルスのパンデミック的感染により、旅行や面会が厳しく制限されることとなり、対面でのヒヤリングは事実上不可能であった。このため、文献サーベイ等が中心となった。また、国際貿易も労働市場も新型コロナウィルスのパンデミック的感染の影響を大きく受けることとなったため、「コロナウィルス感染症の影響」と「国際貿易協定の影響」を切り離しての分析に苦慮したことも否めない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度には、新型コロナウィルスパンデミックのため、ヒヤリングや意見交換が厳しく制限されていたが、今年度はワクチンの普及などで鎮静化し、当初の予定通りのヒヤリングや意見交換を行って、研究の基礎的知見を確立することを目指している。また、「コロナ効果」と切り離された「国際貿易協定効果」を分析するための手法の確率に努める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 新型コロナウィルスのパンデミック的流行により、国内出張、海外出張が事実上不可能となり、次年度に使用する研究費が生じた。 (使用計画) 当初の計画に加え、延期された国内出張。海外出張等に充当する予定である。
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