研究課題/領域番号 |
20K01656
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
萩原 泰治 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40172837)
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研究分担者 |
松林 洋一 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90239062)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 資本体化仮説 / 企業データ / 日独比較 / 生産性 |
研究実績の概要 |
ビューロー・ヴァン・ダイク社のOrbis企業データベースに基づき、日独企業の必要なデータの整理を行い、資本体化仮説の実証分析を行った。 データの整理により、当初設定した4つの課題(1)日本・ドイツの期待利潤率の代替的計測、(2)日本とドイツにおける研究開発・技術革新が全要素生産性上昇率に与える影響に関する検証、(3)期待利潤率に基づく日本とドイツの不確実性の計測、(4)設備投資・期待利潤率・生産性・不確実性の相互依存関係の分析を遂行する上で、共通して基礎となるデータが構築された。2006-2016年について、ドイツ約2万5千社(26万5千社・年)、日本約5万社(46万社・年)のデータが利用可能になった。 資本体化仮説の実証分析は、課題(2)の一部を構成している。資本体化仮説とは、古い設備を使用している企業に比べ、新しい設備を使用している企業は、より新しい技術を体化しているので、生産性が高いとする仮説である。構築されたデータにおいて、設備年齢は、(1)ドイツに比べて日本においてより幅広い分布を示すこと、(2)製造業に比べて非製造業において,より幅広い分布を示すこと、(3)日本において,2013-16年に設備年齢が全体的に短縮したことが分かった。生産性に及ぼす影響は,日独双方において有意であり,資本に体化された技術進歩が重要であることが示された。一方,設備に体化されない技術進歩はゼロまたはマイナスであった。 この研究成果は、萩原泰治(2021)「設備年齢と技術進歩ー日独企業データによる分析」『国民経済雑誌』第223巻第3号として発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究プロジェクト全体の基礎となるデータの整理がほぼ完了し、それぞれの研究課題を遂行することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度は、データの更新を行うとともに、予想利潤率であるトービンの限界qの計測を行い、投資行動との関係を分析する
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