研究課題/領域番号 |
20K01656
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研究機関 | 岡山商科大学 |
研究代表者 |
萩原 泰治 岡山商科大学, 経済学部, 教授 (40172837)
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研究分担者 |
松林 洋一 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90239062)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミクロデータ / 直接投資 / クロスボーダーM&A / トービンの限界Q / ヴィンテージ指数 / 可変的因果性 / 傾向スコアマッチング / staggered DID |
研究実績の概要 |
直接投資、クロスボーダーM&A、投資、生産性に関する実証分析を行った。 (1)対外直接投資の分析:国際資本移動の主要な項目である直接投資と証券投資の相互依存関係に注目し、その可能性を定量的に検証した。分析結果より、2008年から2009年にかけて、2016年頃に対外直接投資から対外証券投資への影響があったことが示唆される。 (2)クロスボーダーM&Aの分析:クロスボーダーM&Aの効果を、個別企業のミクロデータをもとに、因果推論の分析手法の進展を考慮して検証した。具体的には各国企業の対外投資を網羅したデータベースに基づき、傾向スコアマッチング法及び主体の異質性を考慮したDIDを用いて分析を行っている。分析結果より、投資企業の売上高について多少増加させるものの、収益性を改善するまでには至っていないことが明らかとなった。和賀国のクロスボーダーM&Aは、企業パフォーマンスの観点から見る限り限定的であるかもしれない点が示唆される。 (3)投資、生産性に関する分析:日本の長期停滞の要因を供給面から理解するために,ドイツ,韓国と比較しながら,大企業と中小企業の違いにも注目して分析を行った。日本企業は,ドイツと比較して付加価値で測った労働生産性が低いこと,韓国と比較して,人件費が高いことから,利潤率が低く,低いトービンの限界Q がもたらされている。トービンの限界Q の投資率への影響は有意ではあるものの投資率を大きく変化させるものではない。日本の低い投資率は高いヴィンテージ指数をもたらしている。ヴィンテージ指数の生産性への影響は統計的に有意である。中央値で測ってヴィンテージ指数はドイツや韓国に比べて1年程度大きい。
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