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2022 年度 実施状況報告書

多国籍企業の移転価格操作と貿易政策の相互依存に関する分析

研究課題

研究課題/領域番号 20K01659
研究機関学習院大学

研究代表者

椋 寛  学習院大学, 経済学部, 教授 (90365065)

研究分担者 大越 裕史  岡山大学, 社会文化科学学域, 講師 (90880295)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード移転価格 / 自由貿易協定 / アンチダンピング / 多国籍企業 / 権限委譲
研究実績の概要

研究3年度目となる今年度は、昨年度までに実施した2点の研究テーマについて、分析をさらに精緻化した。
まず、「自由貿易協定の締結による生産立地移転と権限移譲が多国籍企業の法人税回避に与える影響」に関する分析について、先行研究との違いをより明確にしつつ、現実の政策議論との関係に関する記述を強化するなどの改訂を行った。現在、同論文を査読付きの国際学術誌に投稿しており、結果待ちである。
次に、昨年度から引き続き実施している、「企業内取引価格に対するアンチダンピングが、多国籍企業の法人税回避行動と各国の厚生に与える影響」について、理論分析を深めつつ内容の大幅な改訂を行なった。具体的には、貿易自由化の影響に関する分析を加え、輸送費が比較的高い状況から貿易自由化を実施すると、ダンピングマージンが負から正に変わり、アンチダンピング措置が発動されること、しかしさらなる自由化は逆にアンチダンピング措置の発動を抑制することを確認した。また、移転価格設定のConcealment Costに関して貿易量に依存するケースを新たに分析し、貿易量に依存しない場合と本質的な違いが無く、基本モデルの結果がロバストであることを確認した。また、移転価格とアンチダンピングの関係に関する現実例を加えた。同論文は、研究分担者が韓国国際経済学会(KIEA)において報告するとともに、経済産業研究所のディスカッションペーパーとして公開され、査読付きの国際学術誌に投稿し、却下されたものの改訂の上で新規投稿の機会(Reject & Resubmit)が与えられている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍が終息に向かっているものの、予定していた学会報告を行うことができなかったため、研究実施年度の1年間の延長をした。アンチダンピングと移転価格の論文に関しては、学術誌に投稿し、新規投稿として再投稿の機会が与えられており、順調に進展している。一方、自由貿易協定と多国籍企業の権限移譲に関する論文に関しては、査読付き学術誌に投稿し、結果待ちの状況である。以上より、おおむね順調に進展していると言える

今後の研究の推進方策

地域貿易協定と移転価格の研究に関しては、既に論文2編が査読付き学術誌に出版されており、残り1編についても最終年度中に査読付き国際学術誌への掲載されることを目指す。アンチダンピングと移転価格の分析に関しては、早いうちに学術誌により提示されたコメントに対応し、新規投稿として再投稿する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍が引き続き継続し、予定していた海外の学会出張や研究相談の出張を中止ないしオンラインへの切り替えとなったため、次年度使用額が生じた。コロナ禍が終息に向かい、海外渡航も容易になったことから、本研究課題の関連研究を実施している外国(豪州、タイなど)の現地研究者と相談するために、その訪問費用として使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Antidumping on Tax-induced Dumping2022

    • 著者名/発表者名
      大越裕史
    • 学会等名
      Korea International Economic Association (KIEA)
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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