• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

有効需要不足下の貨幣経済における個別消費課税とその影響

研究課題

研究課題/領域番号 20K01661
研究機関東洋大学

研究代表者

松崎 大介  東洋大学, 経済学部, 教授 (00389610)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード消費者物価水準 / 消費課税政策 / 生産技術の異なる複数財
研究実績の概要

本研究では,複数の消費財が存在する長期的な経済停滞下での個別消費課税の影響について分析を行う。2020年度は,個別消費税率の変更による消費者物価水準の変化について基礎的な理論構築を行い,複数財の経済下では,代表的な合成財とそれに対応する消費者物価水準との関係を分析する必要があることがわかった。2021年度の分析では,これらの関係を調べるために,抽象的な効用関数ではなく,具体的な消費効用関数型を与えた上で,数値分析を通じて,政策変更による均衡の変化を確かめた。この分析の具体的な成果は以下の3点にある。
1.2財経済下での具体的な消費効用関数として,2財からなるCES型関数を想定した上で,そのCES型関数を底とした1以下の定数の指数関数を特定して基礎モデルを構築した。これにより,数値分析などを行う土台ができた。
2.上記の基礎モデルを用いて,第1財の個別消費税率を引き上げるなどにより,2財の価格比が変化した場合の消費者物価水準の変化を記述できた。具体的には,変化前後において消費の効用水準が一定となる条件下で,変化前後の名目総消費額の比が変化前後の消費者物価水準の比となる形で,消費者物価水準を定義した。これにより政策変化による消費者物価水準の変化の程度が具体的にわかるようになった。
3.各企業の労働需要は,消費財の生産量が個数単位で表現されるため個数単位の関数となる一方,定常均衡を合成財が時間を通じて一定となる状況と定義すると,家計の労働供給は合成財で表されるため消費者物価水準の変化を通じて変化することになる。本研究のように,2財以上の経済を想定する場合,合成財の実質値とそれに対応した消費者物価水準の下で分析する必要があるが,個別財の個数と定常均衡を記述する合成財との関係に注意して分析しなければならない事がわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は,昨年度より続くコロナ禍の影響により,学外の研究者との共同研究などに関し様々な制限があり,若干研究計画に遅れが出ている。また,本研究の研究計画当初は,多財で構成される経済下で,その中の1財に着目し,その個数が時間を通じて一定となる状態を定常均衡と定義した上で,課税政策の分析を行うことを考えていた。しかし,個別消費課税政策の変化を考える場合,各財の相対価格が変化するため,消費者物価水準との関係が明確である合成財が時間を通じて一定となる定常状態を分析することが必要であることがわかった。そのため,財の個数,合成財の水準,および,消費者物価水準の相互関係についてより詳細な分析をすすめており,やや遅れが生じている状況にある。

今後の研究の推進方策

本研究では,個別財の情報を多財で構成される合成財に集約した理論モデルを使って個別消費課税政策の効果について分析する予定である。そのため,2022年度の研究では,具体的に消費効用関数について特定の関数型を与えた上で,個別財の個数,複数財からなる合成財の実質値,および,消費者物価水準の関係について精緻に分析していく。
また,本研究では,貨幣経済下での分析を行うため,家計は消費からの効用と同様,貨幣からの流動性についても効用を得ている。流動性の定義として,名目貨幣量を特定の財の価格で測ったものではなく,名目貨幣量を消費者物価水準で測ったものを想定して分析を進めて行く予定である。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は,2020年より続くコロナ禍の影響により,学外の研究者との討論などに関し様々な制限があったこともあり,当初予定していたよりも若干遅れが出ている。今後の使用計画については,延長していた研究会合に関する経費として使わせて頂く予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Regional Subsidies and Interregional Labor Movement2021

    • 著者名/発表者名
      Matsuzaki Daisuke and Ono Yoshiyasu
    • 雑誌名

      The Annals of Regional Science

      巻: 66(3) ページ: 557-577

    • DOI

      10.1007/s00168-020-01029-8

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi