研究課題/領域番号 |
20K01667
|
研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
寺井 晃 京都産業大学, 経済学部, 教授 (20387989)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 経済政策 / 経済事情 / 経済理論 / 経済統計学 / 期待インフレ率 / マクロ経済学 |
研究実績の概要 |
令和2年度は,期待インフレ率をはじめとした様々な期待指標間に関する分析を行った.期待データはインフレ率が良く使われるが,本研究では「期待GDP」としてGDPの予測値データを利用した分析をした.期待インフレ率,期待GDP,インフレ率,GDP,金利のデータを収集し,2004年第2四半期から2018年第4四半期まで,VARモデルやそれに基づくインパルスレスポンス関数を利用した.分析結果として,まず,期待インフレ率がGDPやインフレ率といった実現変数に影響を及ぼす経路が確認された.次いで,期待GDPデータが実際のインフレ率と期待インフレ率に影響を及ぼす経路が確認された.GDPに対する予測が改善すれば,物価や期待インフレ率が上昇するということが示されており,期待GDPデータを利用することの有用性が示された研究成果となっている.この成果は「期待指標間の関係」として,日本経済政策学会にて発表された. これと並行して,期待インフレ率データを扱う手法の分析・研究を進めてきた.期待インフレ率の導出には,よく内閣府『消費動向調査』のデータを利用するが,このデータはアンケート結果であり,「期待インフレ率は○%」というように明確な数値ではない.幅を持った数値が用意され,どの程度の割合の回答があったかが公表される.そのため,回答割合を分布に当てはめて平均値を求めるといった手法が必要であるが,本研究では,先験的な統計的分布を仮定せずにモーメントで当てはめる手法などを発展させている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行と,緊急事態宣言の発出,自治体による注意喚起,不要不急の移動の自粛により,各地の図書館等への移動ができず,期待インフレ率に関するデータ・資料の収集を行うことができなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
令和2年度の研究にて生じた遅延について,当初の予定に追いつくように研究推進をする.令和2年度中に出張する予定だった資料収集を行う.令和3年度は乱数を用いたシミュレーション分析を行う予定だったが,より効率的にPCを利用できるようソフトウェアを確保し,遅れの回復を図る.
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由:新型コロナウイルスの流行に伴い,旅費を支出しなくなったことによる. 使用計画:改めて国内研究機関への出張や海外調査をアレンジし,当初の旅費を繰り下げて使用する予定である.
|