研究課題/領域番号 |
20K01670
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
新開 潤一 近畿大学, 経営学部, 講師 (10571648)
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研究分担者 |
高阪 章 大阪大学, 国際公共政策研究科, 名誉教授 (00205329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 投資停滞 / トービンのQ / 市場支配力 |
研究実績の概要 |
本研究では、2000年代以降の日本企業の過少投資の度合いを計測するとともに、過少投資と市場支配力との関係を実証的に分析することで投資停滞のメカニズムを明らかにする。2000年以降、先進国では経済成長率が低下しており、その要因として有形資産に対する投資減少があると議論されている。企業の設備投資が停滞している背景として、無形資産や国外への直接投資、企業の市場支配力の増大など複数の要因が指摘されているが、十分解明されていない。本研究では、2000年以降の日本企業を対象に日本経済の投資停滞の要因分析を行い、資産の性質変化やグローバル化、企業の市場支配力の強まりなどの要因が日本経済に及ぼす影響を明らかにする。 令和2年度においては、文献調査による先進国の投資停滞に関する議論の整理を行い、文献調査と各国の統計データから先進国の投資率の状況や市場支配力の指標であるマークアップの動向を把握した。国によって程度は異なるが、トービンのQや収益性が改善しているにもかかわらず先進国で企業の投資率が低下していることや、米国や欧州においてマークアップの上昇を確認した。またマクロ金融リンケージに関する研究を成果としてまとめた。 今後は、日本企業の財務データを用いて企業レベルにおける過少投資の度合いを計測するとともに、投資停滞の要因分析を実施する予定である。また文献調査により投資停滞の要因に関する議論を整理するとともに、適宜、研究分担者と打ち合わせを行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナにより講義がオンラインに切り替わったことで、授業負担が増大して研究時間が十分確保できなかったため、分析がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2000年代以降、日本経済の過少投資の度合いを計測し、投資停滞の要因を明らかにする。日本企業の統計データを入手後、統計分析のためのデータ整理を行う。そして統計分析により日本経済の投資停滞に関する要因分析を行う。また研究分担者と打ち合わせを行い、得られた知見を共有する。分析結果は、適宜、ワーキングペーパーとしてまとめ、関連学会や研究会で報告を行う。そこからのフィードバックを通じて分析の精緻化を行う予定である。最終的に、専門学術誌へ投稿し、公刊を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は日本企業の財務データベースの購入を取りやめたためである。当初は、初年度にデータベースを購入する予定であったが、文献調査の結果を踏まえて分析内容を検討し直したため、初年度での購入を見合わせることになった。 日本企業のデータベースを購入する予定である。その他、研究作業に必要な統計分析ソフトや文献の購入、さらに学会参加の費用として使用する。
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