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2020 年度 実施状況報告書

収穫逓増経済における経済成長の促進並びに所得分配の改善に関する理論的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01672
研究機関神戸学院大学

研究代表者

三宅 敦史  神戸学院大学, 経済学部, 教授 (60513281)

研究分担者 大住 康之  兵庫県立大学, 政策科学研究所, 教授 (10223819)
稲垣 一之  南山大学, 経済学部, 准教授 (70508233)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード規模に関する収穫逓増 / 労働分配率の低下 / 資産分布の不平等化
研究実績の概要

多くの国において、資本家がますます豊かになる一方で、労働者の賃金はそれほど増えず、所得格差の拡大や資産分布の不平等化が観察されている。しかしながらこれまでの研究の多くは、規模が大きくなるにつれ収益率が低下するという想定の下で理論モデルが構築されており、既存の経済理論では、近年観察される所得格差の拡大や資産分布の不平等化についてきちんとした説明ができないように思われる。本研究プロジェクトの目的は、規模が大きくなるにつれ収益率が増大するような収穫逓増現象が観察される経済において、所得格差や資産分布について検証し、格差解消や経済成長のための望ましい政策提言を行うことである。
2020年度は理論モデル構築のための準備として、日本とアメリカの各産業において、規模が大きくなるにつれ収益率が高くなるという収穫逓増現象が確認されるかどうかについてデータを用いて検証を行った。日本のデータを用いて検証した結果、製造業では企業規模と収益率の間に特に相関は見られないが、金融産業においては規模が大きくなるにつれ資本収益率が高くなるという結果が得られた。一方、アメリカのデータでは、資産の不平等化が進行しており、特に情報産業のオーナーの資産が増え続けていることが確認された。
以上の分析結果をもとに、収穫逓増現象が存在する経済において、格差の拡大を説明できる理論モデルの構築を現在進めているところである。また今後は、企業の財務データを用いて、より精緻な分析を行うことも予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言の発出のため、講義形態が対面形式からオンライン形式に変更され、オンライン講義の準備に多くの時間を割く必要があった。そのため本研究プロジェクトに費やす時間が減少し、結果的にプロジェクトの遂行は当初予定より遅れている。

今後の研究の推進方策

情報化社会の到来とともに収穫逓増経済に変化したことがデータから観察されたので、収穫逓増の下で格差の拡大や資産の不平等化を説明できるモデルを構築し、政策の定性的な影響だけでなく、シミュレーションなどを行うことで定量的な影響についても分析していくことを予定している。
当初の予定では、数回の研究打ち合わせや学会での研究報告を予定していたが、いずれも対面での実施が困難なので、メールやオンライン会議システムを利用して研究メンバー間で連絡を取り合い、プロジェクトを着実に遂行していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス蔓延により移動の制限が生じたことで、打ち合わせ並びに研究報告がオンラインとなり、旅費を全く使用しなかったことと、研究計画の遅延に伴いPC並びに研究資料の購入を次年度に繰り越したため。
PCについては既に発注済みであり、分析のためのソフトウェアや企業の財務データなどの研究資料の購入も予定している。また今年度は研究会の開催や研究成果の雑誌への投稿も予定しており、報告者への謝金や英文校閲料などの支出を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 後継者の選定が中小企業の事業承継に与える影響2020

    • 著者名/発表者名
      岡本弥・三宅敦史
    • 雑誌名

      神戸学院経済学論集

      巻: 52(1-2) ページ: 63-82

  • [学会発表] Structural Change, Service Sector Features, and Aggregate Elasticity of Substitution2020

    • 著者名/発表者名
      大住康之
    • 学会等名
      2020年度日本応用経済学会秋季大会

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公開日: 2021-12-27  

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