研究課題/領域番号 |
20K01674
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
孟 渤 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 主任調査研究員 (70450541)
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研究分担者 |
安藤 朝夫 東北大学, 情報科学研究科, 名誉教授 (80159524)
宇野 公子 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (80558106)
薛 進軍 名古屋大学, 経済学研究科, 名誉教授 (40262399)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 米中貿易摩擦 / グローバルバリューチェーン / 企業異質性 / 付加価値貿易 |
研究実績の概要 |
1)米中貿易摩擦に関する論文レビューを行っている。またCOVID-19と相まって、米中関係は更に悪化し、この点も留意し、グローバルバリューチェーンの観点から米中摩擦の本質に関する研究を行った。成果は『論考』に掲載された。2)多国籍企業の行動を明示的に考慮した国際産業連関モデルを開発してきた。従来の貿易統計の多重計算問題が回避できる付加価値の概念を更に進化させ、“Trade in Factor Income”の概念を新たに提示することで、米中貿易摩擦の議論で広く注目される米国の対中貿易赤字は2005-2016年の平均として従来の貿易統計の68%、付加価値貿易統計の82%であるとの試算結果を得た。関連成果はWTOなどにより2021年10月に刊行予定の『グローバルバリューチェーン発展報告2021年』のバックグラウンドペーパーに選定され、2021年6月にアジア経済研究所のDiscussion Paperに掲載予定である。3)米中貿易摩擦を外的ショックと考えて、企業の異質性を考慮した空間応用一般均衡モデルの構築も行い、実証面において従来のGTAPモデルの拡張を行っている。4)上記モデルの試算結果を用いて米中貿易摩擦によるグローバルバリューチェーンのTopology的な変化を表現するため、ネットワーク分析モデルの開発も行っている。関連成果論文はWTOなどにより2021年10月に刊行予定の『グローバルバリューチェーン発展報告2021年』のバックグラウンドペーパーに選定され、2021年6月にアジア経済研究所のDiscussion Paperに掲載予定である。5)企業のOwnership、規模、貿易パターンを有する中国税関統計、経済センサス情報の収集・加工を行っている。6)環境サブモデル用、多国籍企業と国内企業を明示的に分けた企業レベルの二酸化炭素排出量の推計を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の影響で、当初予定の現地調査、企業訪問、有識者との意見交換、国際機関訪問、及び研究協力相手である中国清華大学との共同データ作業を行うことは極めて困難で、事実上の入国制限などにより実施不可能となり、当初の実施計画の変更も余儀なくされたため、実績も当初期待のレベルまでに至らなかった。しかし、Online会議などを利用し、日本国内の研究分担者とのFace-to-Faceのコミュニケーションを通じて、論文レビューやモデル設計の一部に関して順調に進んできた。
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今後の研究の推進方策 |
1)企業の異質性とFDIを明示的に考慮した米中貿易バランスの再評価に関する論文の精緻化をはかり、国際誌への投稿を行う。2)多国籍企業の行動を明示的に考慮したグロバールバリューチェーンに関するネットワーク分析の成果を国際誌への投稿を行う。3)上記論文は他方WTOなどにより刊行予定の『グローバルバリューチェーン発展報告書2021』に利用されるため、それに応じる査読対応・修正を行う。4)企業の異質性を明示的に考慮した空間応用一般均衡モデルの開発、COVID-19によるデータ開発は引き続き遅れる場合、仮の数値シミュレーションでモデルの利用可能性を検証し、その環境サブモデル、労働サブモデルへの適用可能性をも検証する。5)上記モデル用の企業のOwnership、規模、貿易パターンの情報を有する中国税関統計と経済センサスの加工を行う。6)今年度内においてCOVID-19は収束の目途がづかない場合、現地調査、国際機関訪問、協力相手との共同作業はおそらく実施できず、予算を次年度に繰り越すか、必要に応じて備品、ソフト、Online会議及び論文の英文監修費用に利用する。7)上記成果の一部をWTOなどにより開催予定のグローバルバリューチェーンに関する国際会議や国内外の学会で報告する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により昨年度の出張用予算は利用できず、その分を今年度に繰り越しし、主に 1)代表者の孟の国内外現地調査(協力相手との共同作業)、論文監修など費用60万 2)分担者の安藤、宇野、薛の国内外現地調査、打合せ、備品購入などそれぞれ25万、63万、45万
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