研究課題/領域番号 |
20K01679
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡本 章 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (10294399)
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研究分担者 |
乃村 能成 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (70274496)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 少子高齢化 / 人口減少 / 持続可能な社会 / 厚生分析 / シミュレーション分析 / 動学的分析 / 政府債務 / 厚生分析 |
研究実績の概要 |
私が構築した「人口内生化世代重複シミュレーションモデル」は、応用範囲が広く、幅広く公共政策全般について定量的・数量的に分析できる非常に有用なモデルである。それは、少子化対策、移民政策、年金政策についての考察など、様々な公共政策について幅広く分析できる、大変有用なモデルに仕上がっている。このモデルは様々な公共政策の効果について、将来世代を含めた全ての世代の厚生への影響のみならず、将来の人口水準への影響も分析できる。 長く続いたコロナ禍の下で世界の多くの国々では、大規模な財政出動を行い、その結果として財政赤字が拡大し、長期債務残高が大幅に増加している。とりわけ日本の純政府債務は先進国中最大であるため、純政府債務の最適水準に対する関心が高い。そこで、このモデルを拡張して、日本において長期的に望ましい長期債務残高の水準について分析を行った。2023年4月に国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計データが更新されたのに伴い、全てのシミュレーション計算を再度やり直した。 その結果、一人当たり効用を最大化する純政府債務の水準は、日本の国内総生産(GDP)のマイナス220%であることがわかった。現在の日本の純政府債務が大幅な赤字(対GDP比率:150%)であるのに対して、望ましい水準は大幅な黒字であることが示唆された。また、純債務対GDP比がマイナス220%の場合、一人当たりの厚生の改善幅が定量的にかなり大きなものになることが示された。しかし、基準となるシミュレーション(純債務の対GDP比率:150%)と比較すると、長期的に総人口が大幅に減少することが示唆された。 この論文は、“The Optimum Quantity of Debt for an Aging Japan: Welfare and Demographic Dynamics” のタイトルで、査読付きの国際学術雑誌(The Japanese Economic Review)に掲載されることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため、アメリカへの海外出張が出来ず、それが延期された影響はあるものの、研究自体はおおむね順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
フランスでは、養育補足給付があり、被保険者が3人以上の子供を養育してきた場合、年金額の10%相当額が支給される。このような、少子化対策と公的年金 制度をリンクさせた改革案の効果について分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーション分析に伴う計算を実施するために、計算速度の速いデスクトップ・パソコンを購入する予定であったが、期待に沿うような計算速度を有する機種が見つからなかった。パソコンの計算処理スピードの改善は日進月歩であることも考慮して、購入をさらに1年遅らせることにした。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため、アメリカへの海外出張を来年度に延期することにした。
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