• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

小地域レベルにおける地域産業連関表の推計に関する新しいノン・サーベイ法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K01680
研究機関高知大学

研究代表者

中澤 純治  高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (30346704)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード地域産業連関表 / Non-survey法
研究実績の概要

新型コロナウイルス感染症拡大によって、本年度計画していた高知県黒潮町における地域経済の実態調査については実施が困難となり、Non-survey法の推計精度の検証に必要なデータ収集が難しくなった。そのため、本年度はすでに公表されている都道府県の産業連関表データを用いた検証を進めることとし、小地域レベルの産業連関表の推計に見られる固有の問題の検証については、実際の推計方法やデータ整備状況からの検証を行なうことにとどめた。
その成果については、環太平洋産業連関分析学会(第31回(2021年度)全国大会)において、「都道府県産業連関表データを用いたNon-survey 法の推計精度の検証」と題して、研究成果の一部を報告した。この報告では、推計コストを下げるため、これまでの多くのNon-survey法が開発されてきたが、現在、最も信頼性が高いとされるFLQ法を用いて、日本国内の事例で検証した結果、必ずしも当てはまりが良くなかったこと(中澤(2010))。その原因のひとつとして、従来のFLQ法は、地域固有の特性(産業集積の形態や地域経済の需要構造、市場規模、交通インフラ、商習慣等)を充分に反映させた手法ではないことを指摘した。
また、これまでのNon-survey法の研究成果を整理し、平成27年都道府県地域産業連関表を使って推計精度の検証を行なった結果、重要な論点となるFLQ法におけるδをどのように推計を行なうのか、日本と海外における「移輸入」の表象形式の違いに起因する推計上の課題が残されており、単純にNon-Survey法を導入するには無理があること、その検証方法を確立させる必要性があることなどを報告した。
また、研究の鍵となる実態調査の実施を高知県土佐町、梼原町と協議を進め、一定程度、実施の見通しが立った状態となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の目的は、社会的ニーズの高まる小地域レベルの地域産業連関表の推計に利用可能な新しいNon-survey法の開発を行うことである。実現へのプロセスは以下の4つである。①ベンチマークとなる都道府県地域産業連関表データベースの構築、②日本におけるRegional Specializationの数値化、③新しいNon-survey法の当てはまりの良さの検証、④市町村レベルにおける地域産業連関表の推計への適応と既存推計方法との比較、である。このうち①については、昨年度実施済みである。②と③については、環太平洋産業連関分析学会(第31回(2021年度)全国大会)において、「都道府県産業連関表データを用いたNon-survey 法の推計精度の検証」と題して、研究成果の一部を報告した。しかし、日本と海外における「移輸入」の表象形式の違いに起因する推計上の課題が残されており、この点について現在、解決方法を検討中となっている。④については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、実態調査が実施できなかたっため、実態調査に協力して頂ける自治体を探し、一定の目処が立った状態である。しかし、研究の鍵となる小地域レベルの移輸出、移輸入に関するデータの入手が送れているため、進捗状況としては「やや遅れている」と考える。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルスの感染拡大により、当初予定していた移輸出・移輸入に関する実態調査が実施できない状況となった(高知県黒潮町)。そのため、別途、調査候補地を調整し、高知県土佐町が協力してくれることになったが、実施予定時期であった2022年1月から3月にかけて、再度、新型コロナウイルスの感染拡大により調査は延期となってしまった。ただし、調査票の作成や自治体との調査打ち合わせ等は実施済みであるため、状況が落ち着く頃合いを見て令和4年度の早い時期に実施したいと考えている。このほかにも高知県梼原町に協力の申し出を頂き、先の黒潮町と合せて今年度の実態調査の実施に向けて調整を行なっている。
また、昨年度の学会報告で明らかになった、日本と海外における「移輸入」の表象形式の違いに起因する推計上の課題については、いくつかの方向性をとりまとめることができたので、今後、ブラッシュアップを行ない、その成果を今年度の環太平洋産業連関分析学会で報告したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症拡大のため計画していた旅費(国内、海外)がほぼ使用できない状況であった。また人件費・謝金についても、実態調査の実施が難しい状況であり、調査にかかる直接的な謝金や収集したデータの処理に伴う謝金の使用が難しい状況であった。
実態調査の実施に関しては新型コロナウイルス感染症拡大の状況次第という側面があるが、新しく調整した高知県土佐町における実態調査の準備はすでに終えており、令和4年度の早い段階で実施予定であり、謝金の執行を行うことができると考えている。また旅費(国内)についても環太平洋産業連関分析学会が各地で主催するセミナー等が実施予定であり、計画していた先進自治体等へのヒアリング調査なども実施できる見通しである。ただし、旅費(海外)については見通しが立たず、計画変更を含め検討したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 都道府県産業連関表データを用いたNon-survey 法の推計精度の検証2022

    • 著者名/発表者名
      中澤純治
    • 雑誌名

      環太平洋産業連関分析学会報告論文集

      巻: - ページ: -

  • [学会発表] 都道府県産業連関表データを用いたNon-survey 法の推計精度の検証2021

    • 著者名/発表者名
      中澤純治
    • 学会等名
      環太平洋産業連関分析学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi