研究課題/領域番号 |
20K01680
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中澤 純治 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (30346704)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域産業連関表 / Non-survey法 / LQ法 / CB法 / Cross-Hauling |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会的ニーズの高まる小地域レベルの地域産業連関表の推計に利用可能な新しいNon-survey法の開発を行うことである。実現へのプロセスは以下の4つである。①ベンチマークとなる都道府県地域産業連関表データベースの構築、②日本におけるRegional Specializationの定式化、③新しいNon-survey法の当てはまりの良さの検証、④市町村レベルにおける地域産業連関表の推計への適応と既存推計方法との比較、である。 2022年度に実施した研究の成果について、このうち新型コロナウイルス感染症拡大のために予定していた小地域レベルでの実態調査が実施できない事態となっていたが、高知県梼原町において実態調査を実施し、市町村における移輸出・移輸入のサーベイデータを入手することができた(③)。また、高知県土佐町、高知県黒潮町、新潟県佐渡市などでは実態調査の実施に向けて準備を進めている。④については、これまでの研究成果を踏まえ、環太平洋産業連関分析学会第33回(2022年度)全国大会にて「中山間地域における産業連関表の推計と社会会計行列への拡張ー高知県黒潮町を事例にー」として報告を行った。 また従来のNon-survey法の検証(③)より、Fujimoto(2019)によって提案されたDSLQ法について、日本の産業連関表の表彰形式である競争移入型に理論的にも適合できており、またCross-Haulingの問題についても対応可能なため、新たなアプローチとして採用し、市町村レベルにおいても適用可能かを検証した。この結果は、来年度の環太平洋産業連関分析学会第34回(2023年度)全国大会にて報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大のために予定していた小地域レベルでの実態調査が実施できず、小地域レベルにおける移輸出・移輸入のサーベイデータが確保できなかったため、新しいNon-survey法の検証テストが遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大のために予定していた小地域レベルでの実態調査が実施できず、小地域レベルにおける移輸出・移輸入のサーベイデータが確保できなかったため、新しいNon-survey法の検証テストが遅れているが、2022年度末に高知県梼原町、2023年度前半に高知県土佐町、新潟県佐渡市で実態調査を実施できる可能性が高いため、まずはNon-survey法の検証テストに必要なサーベイデータの獲得に努めたい。 また従来のNon-survey法では、LQ法が主要な方法として開発されてきたが、これは欧米が採用している非競争移入型の産業連関表には適合可能なものの、日本の競争移入型に適応する場合は課題がある。Fujimoto(2019)によって提案されたDSLQ法は、日本の産業連関表の表彰形式である競争移入型に理論的にも適合できており、またCross-Haulingの問題についても対応可能なため、新たなアプローチとして採用し、市町村レベルにおいても適用可能かを複数地域の事例をもとに検証を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により、予定していた実態調査及びデータ集計等の作業が実施できず、人件費・謝金が大きく繰り越すこととなっている。ただし、2023年度前半に実態調査を2地域で実施するために現在準備を進めているので、今年度中には使用できる計画のめどが立っている。 また研究結果を国際学会・国際セミナー等で公表する予定であったが、同じく新型コロナウイルス感染症拡大による研究進捗の遅れや海外渡航の禁止、国際会議・セミナーの中止、大学業務の繁忙によって、参加することは不可能であったため、旅費が大幅に繰り越すこととなった。ただし、当初想定していなかった地域での実態調査の実施が可能となったり、海外の研究者との交流がオンラインによって簡単にできるようになったことなど計画時点での社会・研究環境の変化を踏まえ、研究を効果的に完遂できるように旅費に関しては支出計画を見直していきたい。
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