研究課題/領域番号 |
20K01686
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
原野 啓 明海大学, 不動産学部, 准教授 (30848495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中古住宅市場 / 価格乖離 / 建築後年数 / ノンパラメトリック推計 |
研究実績の概要 |
日本の住宅市場では、中古住宅の価格が下落することが知られているが、時間の経過によって徐々に価格が下落する部分と、築年数とは無関係に中古住宅であるということで価格下落が生じる部分の2種類に分けられる可能性がある。 本研究では、こうした価格下落の減少が、生じているのかどうかを視覚的にとらえることを目指して、ノンパラメトリック推計を用いた住宅価格の推移について分析することを研究目的としている。 当該年度では、こうした日本の中古住宅価格で生じている可能性がある価格下落の有無を確認するためにノンパラメトリック推計の学習と推計モデルの特定化を行った。また、日本の住宅市場を分析する際には、住宅の種類別(戸建て住宅、共同住宅)の違い、および地域による住宅市場の違いを考慮する必要があるため、様々なパターンで推計を行い、価格下落がどのように生じているのかについて検討を行った。 分析の結果、ノンパラメトリック推計は、サンプル数が一定程度必要であることと、1回の分析に時間がかかるため、当初考えていたほど容易には推計ができないことが判明した。そこで、推計モデルをより簡便で収束しやすいモデルに変更するべく、先行研究などをサーベイし、できるだけ収束時間がかからないモデルを利用する形に変更した。これらの工夫を踏まえて、地域別の価格下落の傾向について分析した結果、東京都などのデータにおいては、取引直後に価格がある程度下落する傾向が確認されている。他方で、そのような価格下落が生じない地域もあり、こうした変化がどのような原因によって生じているのかを確認することが必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、ノンパラメトリック推計の手法を学習すること、および日本の不動産市場を対象に同手法を用いて分析することを念頭に分析を行った。ノンパラメトリック推計は、1回の推計に時間がかかるため、住宅の種類別・地域別に推計を行うと、相当な時間を要するため、推計に時間がかからない簡易な手法などを用いて推計を行い、まずはどのような分析結果が出るのかを見極める必要がある。その上で、地域別で異なる推計結果が出ている場合には、その結果がどのような原因によるものなのかを検討することが必要になっている。 推計結果による地域別の違いが、地域間における商習慣の違いなのか、分析手法によるものなのか、こうした違いについてヒアリングなどを行いたいと考えているが、コロナウィルスによる出張の困難さなどもあり、実現できていないところがある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、日本の住宅市場に関するデータ分析をさらに進めて、研究を実行することとする。また、同じ分析手法を用いて、韓国・台湾・アメリカについても同様の分析を行いたいと考えている。 予定では、1年毎に一つの対象国を分析し、その結果について分析対象国でヒアリング調査を行い、日本との比較分析を行いたいと考えている。ただし、コロナウィルスの流行により、海外出張による現地調査が難しいことが考えられるため、ヒアリング調査自体は、海外渡航が可能になる来年度以降に実施することも予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額の発生は、コロナウィルスの流行により学会への出張が不可能となり、予定していた旅費の支出を行っていないことに起因する。次年度以降、地方での学会開催が行われる際に、この費用を利用したいと考えている。また、データベースの整備などにおいて、学生のアルバイトを利用することになるため、その費用に充当することを予定している。
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