研究課題/領域番号 |
20K01686
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
原野 啓 明海大学, 不動産学部, 准教授 (30848495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 不動産価格 / 中古住宅 / 建築後年数 / ノンパラメトリック推計 / 韓国ソウル市 / 再開発 |
研究実績の概要 |
今年度は、韓国(ソウル市)のデータを用いて、築年数の経過が住宅価格に及ぼす影響について分析を行った。 分析に利用したデータは、韓国の国土交通部の実取引価格公開システムの実取引価格資料提供のページからダウンロードしている。抽出条件は、ソウル市で取引された共同住宅の新築および中古住宅としている。DLしたデータには、交通利便性に関する情報(例えば、最寄駅までの距離または徒歩時間など)が含まれていないため、GISを用いて交通利便性に関する変数を作成し、それらを住宅属性に関する変数として追加した。 このデータを利用して、築年数の経過と取引価格の関係について、ノンパラメトリック手法により分析を行っている。分析の結果、築年数の経過は取引価格を下落させるという一般的な傾向が示された。ただし、地域によっては、築年数の経過にもかかわらず、取引価格が上昇する傾向が確認されている。これは、再開発の可能性が高いエリアほど、取引価格が上昇する可能性があるという先行研究の結果と同様の分析結果であり、韓国の不動産市場の特徴を的確にとらえられたものと考えている。他方で、こうした地価が上昇するエリア以外のサブサンプルを利用して、地価と築年数の経過について分析したところ、一定期間以降は価格が下げ止まる傾向も観察されている。 本研究の目的は、日本の不動産価格との比較であるが、こうした分析結果は本研究の分析手法が適切であることを示すものと考えられる。さらに、日本の不動産市場との違いを比較することで、日本の住宅市場の特徴を把握することに寄与するものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、上記の分析を踏まえて、調査地(韓国ソウル市)にヒアリング調査に向かうことを予定していた。しかしながら、コロナウィルスの流行により海外への出張が難しく、ヒアリング調査は行うことができていない。分析結果の解釈が、妥当なものであるか否かは、現地の不動産市場に精通している現地の不動産事業者や研究者等へのヒアリングが必須であるため、コロナ禍が収まり次第、現地への調査を実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の調査で実施できなかった、ソウル市への現地調査を行い、分析結果の解釈についてヒアリング調査を実施する予定である。 また、同様の分析を台湾(台北市)を対象として行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、海外へのヒアリング調査実施を予定していたが、コロナウィルスの流行により海外渡航が不可能となり、結果として出張費用(旅費・ホテル代など)の未利用分として発生している。コロナウィルスが落ち着き次第、ヒアリング調査を実施することで、未使用額は解消される見込みである。
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