研究課題/領域番号 |
20K01688
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
新村 恵美 帝京平成大学, 人文社会学部, 准教授 (50772901)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エンパワーメント / 世帯内意思決定 / 女性労働 / 拡大家族 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、女性のエンパワーメントの測定指標の理論的枠組みを明確にした上で、女性のエンパワーメントと就業を中心とした関係要因を実証的に検討することである。 前年度までに(1)インドの労働市場と女性の就業の理論の検討、(2)有配偶女性の就業選択と関係する要因を特定する実証分析、および(3)エンパワーメント測定指標の理論的枠組みのを検討、を実施し、査読論文としてまとめた。 2022年度はこれらをふまえて、第1に、インドのデリーで2度の研究調査を行った。職種のバリエーションを確保して就業女性の世帯内意思決定についてインタビューするため、デリー南部の地域で延べ20名の女性を対象とした(第1回は2022年8月の約2週間に13名、第2回は2023年2月の約10日間で前回対象者7名を含む14名)。本調査から、次のことが見出された。(1)全員が結婚したら義理の家族と同居することが当然と考えており、①現在同居中、②結婚当初に同居したことがある、③同居を自ら提案したことがある、のいずれかであった。(2)拡大家族に住むことは、世帯内意思決定への機会を少なくすることと関係がある。(3)拡大家族内では、家事やケア負担をめぐって成人女性の間で協力(あるいは対立)している。(4)銀行口座の保有と、それを自身で運用できることは「自律性」と大きくかかわることが考えられる。 第2に、大規模データの二次分析から、女性の世帯内意思決定と就業していることは有意に正の関係をもつが、拡大家族の中で世帯主の「義理の娘」であることは、世帯内意思決定に有意に負の関係をもつことが推定される。 これらの成果を、3回の学会等での研究発表を行った(南アジア学会、日本人口学会、人口学研究会)。現在論文にまとめ、投稿準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度採択と同時に新型コロナ感染拡大による移動制限があり、現地調査をすることができなかったため、研究に遅れが生じていた。 本来の最終年度であった2022年度には2回の調査が実施でき応分の進捗があったので、今後遅れを取り戻し、2023年度を最終年度とする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は延長し本研究の最終年度とし、下記を予定している。 (1)インタビュー調査データから、女性の就業と世帯内意思決定の関係について、特に家族関係に注目した質的研究としてまとめる。 (2)インド家族保健調査(NFHS)の世帯内意思決定項目を含む第3,4,5ラウンドの大規模データを使用し、(1)と関連づけながら二次分析を行う。 (1)(2)を論文としてまとめ、投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が3年で完了しなかったため、延長申請をした。2023年度を最終年度とし、バイアウト制度も活用し、本研究を完了させる予定である。
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