研究課題/領域番号 |
20K01692
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
鶴見 哲也 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (50589364)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経済発展 / 資源利用 / 環境クズネッツ曲線 / 環境配慮行動 |
研究実績の概要 |
経済発展が資源利用に及ぼす影響を検証するために、まず環境制約を評価するエコロジカルフットプリントや森林資源に関する指標、そして生物多様性指標と経済発展の関係に関する研究サーベイを行い、研究の独自性を明確化させた。そのうえで、環境クズネッツ曲線仮説の検証の文脈でこれらの資源利用に関係する評価指標と経済発展の関係性について実証的な分析を行った。分析では経済発展と環境の関係性について柔軟な関数形を把握するためのノンパラメトリックな手法の活用方法を検討し、統計的な信頼性の確保による独自性を見出すための検討を行っている。 また、経済発展が人々の環境に対する考え方に影響することを把握するために、どのような場合に環境配慮行動が促進されるのかについて、実証的な研究を行った。特に北欧と日本を比較することで普段の自然との触れ合い状況や自然とのつながり意識が環境配慮行動の差を生んでいることを実証するとともに、そうした環境とのつながり意識を高めるための方策について検討を行った。 以上の分析の結果、各国で経済発展と資源利用の関係性は異なること、環境配慮行動を高めるための方策として自然とのつながり意識を高めることが統計的に有効であることを示すとともに、自然とのつながり意識がコロナ禍前とコロナ禍で大きく同一個人において変化した可能性が見出されている。コロナ禍前とコロナ禍で人々の考え方が変化した可能性については十分これまで学術的知見が見出されていないと言え、新規性のある研究と期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経済発展が資源利用に及ぼす影響についての実証研究を概ね取りまとめる段階にあり、今後の学術論文投稿の準備段階は終わっている。また、関連研究として環境配慮行動の決定要因についての研究も進めることができており、複数の研究が進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度の早い段階でこれまで行ってきた実証分析の結果を取りまとめることで、年度内に学術論文の複数の公刊を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究出張を行うことができなかったため残額が発生した。新型コロナウイルスの感染状況が改善し、研究出張が行える段階になったときに使用する予定である。
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