研究課題/領域番号 |
20K01695
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
渡邉 正英 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (50434783)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 曖昧性 / 曖昧性態度 / オンライン実験 |
研究実績の概要 |
本研究は経済実験から抽出される曖昧性態度の外的妥当性を検証することを目的としている。幅広い属性を持つ被験者を対象とした大規模なオンライン実験から曖昧性態度を抽出し、曖昧性態度と現実行動との関連を実証的に検証する。 本年度は、水害関連の自然要因の曖昧性に対する曖昧性態度の抽出、および、水害関連の行動データを取得するための大規模なオンライン実験を実施した。結果領域は、正および負の領域を想定して実験を行った。比較のため、先行研究で測定されてきた金銭くじの人工要因の曖昧性に対する曖昧性態度の抽出も行った。曖昧性態度は、曖昧性回避度と曖昧性によってもたらされる確率非敏感性で測定した。 実験で得られたデータをもとに一次分析を行った。その結果、人工要因の金銭くじの曖昧性よりも、自然要因である水害関連の曖昧性に対して、被験者の確率非敏感性が強い傾向が見られた。また、結果が損失領域の場合のほうが、結果が利得領域の場合よりも、確率非敏感性が強い傾向も観察された。さらには、結果が利得領域の場合では曖昧性回避、結果が損失領域の場合では曖昧性愛好的である傾向が見られた。 曖昧性態度と現実行動の関連については、自然要因の水害関連の曖昧性において、結果が損失領域の場合、確率非敏感性が強い人ほど水害対策行動を取らない傾向が観察された。これは、曖昧性のために損失確率を識別できない人ほど、災害予防行動をとらないことを意味しており、理論整合的な結果と言える。 今後は、曖昧性態度と現実行動の関連についてより詳細な分析を進め、また、結果の頑健性チェックも行い、最終的結果をまとめていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は曖昧性態度を抽出するオンライン実験を実施し一次分析まで終了することができた。しかしながら、分析および原稿執筆に時間を要し、論文執筆を完了するには至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度実施した実験結果をまとめ論文を完成させる。また、他の自然要因の曖昧性(例:環境に関連する曖昧性等)に対する態度を抽出する実験を行い、曖昧性態度と現実行動との関連を検証する実証研究を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施したweb実験は、その内容から対象地域を限定する必要があり、当該地域において想定した被験者が集まらなかったことが次年度使用額が生じた原因の一つである。次年度において、別の地域で異なる曖昧性ソースを対象としたweb実験を実施する予定である。また、研究の進行がやや遅れ、当初予定した英文校正を行うことができなかったことも原因の一つである。次年度は論文を完成させ、英文校正代としても利用する予定である。
|