研究課題/領域番号 |
20K01707
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
野崎 華世 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (40588927)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 転勤 / 女性労働 / 経済政策 |
研究実績の概要 |
本研究では、夫の転勤がその家族に与える影響に関する実証研究を行っていく。転居を伴う人事異動である転勤は、多くの企業で実施されている。しかし、その転勤が家族に与える影響を実証的に分析されている研究はほとんどない。本研究は、いくつかの大規模個票データを用いて(1)夫の転居を伴う異動が妻の労働供給に与える影響と(2)夫の転居を伴う異動が夫婦のメンタルヘルスに与える影響を考察した上で、(3)単身赴任世帯における子どもの認知能力・非認知能力に関する分析を行う。これらの結果を元に、多様な労働力の活用において何が必要となってくるかの政策的インプリケーションを導くことが目的である。 本年度は、リクルートワークス研究所「全国就業実態調査(JPSED)」を用いて、「夫の転居を伴う異動が妻の労働供給や主観的厚生に与える影響」の分析を進めた。現時点での分析の結果、夫の転勤に家族帯同する場合、妻の就業確率も労働時間も低くなる傾向にあり、夫の転勤に伴って妻が労働調整を行っていることが示された。また、妻の生活満足度に関しては、家族帯同の場合は、転勤後に低くなっており、夫が単身赴任の場合は、転勤時、転勤後に低くなっていることが分かった。これらの結果をまとめ、国際学会での報告申し込みを行った。加えて、慶應義塾大学パネルデータ設計解析センター「日本子どもパネル調査(JCPS)」を用いて、「単身赴任世帯における子どもの認知能力・非認知能力に関する分析」の分析も進め、こちらも国際学会への報告申し込みを行った。さらに、乳幼児期の肥満に関する国際比較研究が英文学術誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、「夫の転居を伴う異動が妻の労働供給と主観的厚生に与える影響」と「単身赴任世帯における子どもの認知能力・非認知能力に関する分析」の2つの分析を進め、来年度の国際学会での研究報告が決まっている。そのため、おおむね順調に進展している、と言える。
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今後の研究の推進方策 |
「夫の転居を伴う異動が妻の労働供給と主観的厚生に与える影響」と「単身赴任世帯における子どもの認知能力・非認知能力に関する分析」に関して、学術学会で研究報告を行うと共に、いただいたコメントを元に修正し、論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術学会での報告のため、旅費を計上していたが、コロナウイルス等の影響により、本年度の報告を見送った。そのため、次年度使用額が生じた。来年度は、いくつかの学術学会で報告する予定であり、旅費として使用する予定である。加えて、分析を遂行するための資料収集費、研究報告及び学術雑誌への投稿のための英文校閲費として利用する予定である。
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