研究課題/領域番号 |
20K01710
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研究機関 | 敬愛大学 |
研究代表者 |
米田 紘康 敬愛大学, 経済学部, 講師 (90709312)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | fMRI / 医療経済学 |
研究実績の概要 |
2年目に向けておこなうfMRI実験のパイロット版としてをおこなう予定であった実験室実験は、COVID-19の影響により実施することができなかった。全国の大学において講義がオンライン化していた状況で、被験者を実験室に2時間程度収容することは不可能であった。実験をオンライン化するという方法もあったが、システムやノウハウが不足しており実現できなかった。
そこで本研究で利用する手法である行動経済学および神経経済学の基礎研究を整理した論文「行動経済学的手法による異時点間選択研究の発展 - 神経経済学の可能性 -」を発表した。この論文では環境を統制された実験室でおこなう経済実験およびfMRIを用いた神経経済学の歴史と手法について整理した。本論文では異時点間選択に関する研究について整理しているが、将来に対する不確実性を割り引いて評価するという点が本研究における「医療に対する不確実性」と密接あるいは部分的に関連する。
医療の場合は、手術が成功するか否かという不確実性は短時間で結果が明らかになる。これはLottery(くじ)のような要素を含むケースとして考えることができる。一方、術後あるいは投薬後に再発する不確実性は、数ヶ月から数年という時間スケールで結果が明らかになる不確実性と考えられる。特に後者のケースでは、一般的に不確実性と括られているが、実際は「将来起こるかもしれない不確実性」という2つの要素で構成されている。そのような視点から、本研究の成果を執筆する際には異時点間選択を先行研究調査に利用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内定交付後にCOVID-19による全国的な出張自粛や講義形式の変更により研究遂行するエフォートを確保することができず、想定よりも進捗することができなかった。本来であればパイロット実験を準備・実施する予定であったが、実験室という閉鎖空間に被験者を収容することは全国的に密を回避するオンライン授業を推進していた時期でもあり、実施することができなかった。したがって、論文調査などを被験者が関与しない部分を進めている。以上のように想定よりも進捗状況は遅れてしまっているものの、可能な範囲からアプローチするように試みている。
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今後の研究の推進方策 |
対面授業が解禁され始めているので、実験室で実験をおこなう可能性もある。ただし、密を回避するために1度に参加する被験者数を抑えることで想定よりも時間をかけてデータ収集することが予想される。そこで対面を避けるオンラインでの実験という方法も視野に入れて対応を考えるが、実験環境をどれほど統制できるのかあるいは研究論文として耐える内容となるのか検討が必要となる。クラスター感染や実施機関での安全基準を考慮して方法を考えていく。 2020年度に行動経済学・神経経済学的手法について整理した論文を執筆したが、医療経済学に関連する実験研究や行動経済学研究をサーベイする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
内定交付後にCOVID-19による全国的な出張自粛にともない、当初予定していた打ち合わせ出張およびパイロット実験が全てキャンセルとなったため、未執行額が大きくなっている。そのような状況なので、旅費を中心に執行されていないことはやむを得ないと思われる。2021年度は、状況を鑑みて執行をおこなう。ただし、本報告書提出時点でも県外への移動自粛要請が発出されているので、見通しは不明である。
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