1983年から2014年までの選挙公報を用いて、1994年の衆議院選挙制度改革の影響を検討した。各候補者の候補者名と政党表示の大きさを測定し、差の差推定(DD)を用いて改革前後での変化に着目した。その結果、参議院と比較して衆議院の候補者は改革後に候補者名を小さく、政党ラベルを大きく表記しており、標準的な理論の予想と一致していた。しかし、自民党と非自民党の候補者を比較すると、自民党の候補者の方が非自民党の候補者よりも候補者名が大きく、政党名が小さいことがわかった。このことは、自民党の候補者は他党の候補者に比べて、従来型の候補者主導の選挙運動や政治活動を比較的維持していることを示唆している。
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