研究課題/領域番号 |
20K01715
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
関口 智 立教大学, 経済学部, 教授 (60409539)
|
研究分担者 |
木村 佳弘 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (50559812)
伊集 守直 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (30468235)
嶋田 崇治 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (80770354)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 政府間関係 / 住宅政策 / 住宅手当 / 福祉国家 / 住宅金融 / 住宅税制 / 非営利組織 / 公営企業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、福祉国家での住宅政策の位置づけを、「政府間行財政関係」や政策形成過程および政策決定過程、フローとストック(住宅資産、住宅債務)の関連、財政と金融関係等に着目し、再構成することにある。 研究計画は国際比較分析を行うべく、国内での文献調査と海外調査の二本立てとし、実地調査については、2020年度はスウェーデン、2021年度にアメリカ、2022年度はドイツでの実地調査を、複数名で実施すことを想定していたが、2020年度及び2021年度はコロナウィルス感染症の世界的な蔓延から、現地調査を繰り延べ、各国住宅政策に関する国内での文献調査を行った。 スウェーデン、ドイツ、アメリカ、日本の各国について、月一回のオンライン会合により議論しているが、今年度の国内文献調査による公表物としては、アメリカの住宅政策に関する論考、ドイツの住宅政策に関する論考を公表している。 関口(2021)では,アメリカで公共住宅が少ない点に着目し,連邦・州・地方政府・「民間支援住宅」供給組織等へと,委任関係が外延化している賃貸住宅政策を分析した。その要因の一つには「民間支援住宅」の3分の一を占める非営利組織の存在があること,「公営住宅」とは異なり,政府部門のバランスシートから切り離されているが,フロー(補助金等)とストック(住宅債務等)の両面で,政府部門の関与が埋め込まれていること,等を明らかにした。嶋田(2022)では、ドイツにおける政府間財政関係に係る近年の一連の改革について分析をしている。この一連の改革は、伝統的に分権的な構造を有するとされてきたドイツが「集権化」に舵を切るものと評価されており、実際、州の事務である社会住宅建設、教育、近隣公共交通への連邦の財政援助を可能とさせている。しかし、本稿はその評価に疑義を呈する内容となっている。いずれの論考も、研究目的に合致したものとなっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画は国際比較分析を行うべく、国内での文献調査と海外調査の二本立てにしていた。しかし、コロナウィルス感染症の世界的な蔓延から、今年度も日本国内での文献調査を前倒しで行うことを継続し、海外現地調査を次年度に繰り延べることにした。なお、海外現地調査の開始を視野に入れつつ、2021年度末より海外オンラインでのヒアリングのアポイントを順次開始し、2022年4月より実施している。
|
今後の研究の推進方策 |
資金獲得当初は、2020年度はスウェーデン、2021年度にドイツ、2022年度はアメリカでの実地調査を、複数名で実施することを予定していた。しかし、コロナウィルス感染症の世界的な蔓延が長期化していることから、結果として、2021年度も実地調査を延期した。 過去2年分の海外調査は、次年度に繰り延べたとの認識であり、当初計画の通り、財政学や住宅政策を研究する研究者(社会保障論、公共政策論、都市経済学等)、中央政府や州・地方政府の住宅政策担当者、会計検査院等へのヒアリングを行うことにあるに変わりはない。その際、各国の住宅政策の歴史的変遷、理論的変遷、現状の議論等について、国内調査では実施困難な論点の補強及び発掘に努め、各国に赴くことで取得可能になるデータも入手する。ヒアリング調査は、最低限各国内の大都市(ストックホルム、ハンブルク、ニューヨーク)で行い、可能な限り非大都市でも実施する。 なお、2021年の秋口の感染者数減少の中、現地調査の可能性を模索していたものの、再度、感染者数の増加に直面した。そこで2021年の年末以降から、オンライン・ヒアリングのアポイントを本格的に開始し、2022年4月より順次実施している。オンラインでのヒアリングを組み合わせることで、実地調査の厚みを持たせるようにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
上述の通り、コロナウィルス感染症の世界的な蔓延の継続から、複数名で実施すことを想定していた実地調査を延期している。結果として、2020年度と2021年度の実地調査に係る資金が、2022年度に繰り延べられている。 海外調査の内容は、当初計画の通り、財政学や住宅政策を研究する研究者(社会保障論、公共政策論、都市経済学等)、中央政府や州・地方政府の住宅政策担当者、会計検査院等へのヒアリングを行うことにある点に変わりはない。ただし、2022年度は当初想定していたアメリカ調査に先立って、前年度と今年度に繰り延べたスウェーデンとドイツの調査を先に行うことを、予定している。 次年度の実地調査にも不確実性が伴う。そのため、2021年の年度末からアポイントを開始したオンラインでのヒアリングの実施を充実・先行させ、実地調査をより一層効率的なものにする。
|