研究課題/領域番号 |
20K01718
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
吉田 千鶴 関東学院大学, 経済学部, 教授 (70339787)
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研究分担者 |
前田 正子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (20596192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活時間 / 時間帯 / 就業 / 保育 |
研究実績の概要 |
本研究は、夫と妻の就業の時間帯のパターンと推移を検証し、就業の時間帯を規定する要因や就業の時間帯と家族形成、育児との関係を探ることを目的としている。2021年度は次の2つを実施した。第一に、就業時間帯の推移とその要因についての実証分析を行った。東京大学社会科学研究所付属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブから「東大社研・若年パネル調査」の個票データの提供を受けた。2007から2015年の期間について分析をおこなった。データには、就業時間帯のデータがないため、在宅時間帯で代用した。在宅時間帯における深夜の定義は、23時から翌日6時までの時間帯である。深夜不在の定義は、23時から翌日6時までの時間帯のうち、1時間以上不在の場合である。深夜の不在割合を使用して分析した結果、次がいえる。まず、職業によって、深夜不在割合に差異があり、この割合が高いのは、販売とサービスである。次に、初職が販売とサービスの場合、就業継続確率が低い。そして、現職の継続確率について、職業の影響をコントロールしたうえで分析を行った結果次がいえた。1)深夜不在と現職継続確率の関係は男女で異なる。2)深夜不在は、男性の現職継続割合を下げるが、女性については統計的に有意でない。3)職業と現職継続確率との関係は、初職の場合と異なる。その理由に、年収をコントロールしていること、離職観察の期間が1年と短いことが考えられる、 第二に、夜間働く親の実情を探るため、夜間保育園に訪問し施設長にインタビューを実施した。新型コロナウイルス感染状況から、調査実施には適切な状況と言えず、調査票の作成をすすめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に計画通り、就業時間帯のパターンと推移、その要因についての実証分析、および夜間保育に関するインタビュー調査を実施した。しかし、2021年度中に保育園でのアンケート調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置や緊急事態措置等で、保育園の夜間利用がなかった。また年明けからは、児童や保育士にコロナ感染が広がり保育園が休園になるなど、調査が実施不可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、2021年度に行った実証分析をすすめ、1)配偶関係や子どもに関する変数を追加し、現職就業確率と深夜不在の関係、2)離職経験と深夜不在の就業との関係について分析し、誰が深夜不在の職へ移動するのか、これらについて知見を得ることを予定している。 保育園における調査については、調査票の作成を進めており、2022年度新型コロナウイルス感染状況が沈静化し、保育園が通常開園とともに夜間利用の保護者が通園を開始すれば、調査実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染状況のため、2021年度の学会もオンライン開催であり、旅費が支出できなかった。2022年度は旅費を支出の予定である。 保育園における調査は、新型コロナウイルス感染状況のために延期になったが、2022年度は実施の予定である。
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