本研究の目的は、健康の社会的決定要因(social determinants of health; SDH)を大規模社会調査の個票データを用いて分析し、健康増進や社会的厚生向上のための政策的含意を得ることである。所得や学歴、就業などさまざまな社会経済行動が健康面のアウトカムや疾病リスクにどのように影響するか、また、健康が社会経済行動にどのようなフィードバック効果を及ぼすかが研究の中心的なテーマとなる。研究に際しては、個人の行動や健康の変化を経時的に追跡できるパネル調査の利点を最大限活用し、変数間の因果関係や動学的メカニズムの正確な把握に努める。
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