研究実績の概要 |
今年度は、先行研究を論文としてまとめると同時に、さらに高度な分析のためのデータ分析や執筆などを行った。またコロナ禍において本プロジェクトと関連する研究も実施した。 具体的には、研究協力者と執筆した論文として、医療・保育・地方財政・住宅・介護・コロナ禍の財政・社会保障政策の領域において、以下の7つの論文(本の一章を含む)を刊行した(刊行予定含む)。後藤・安藤(2020)は国民皆保険化前の精神病床入院の長期入院において生活保護制度が果たした役割を計量的に検証したものであり、今後、医療保険制度と生活保護制度が精神病床入院に果たした役割を検証する際に基礎的研究ともなる。安藤・前田(2020a,b)は、保育アンケートデータの記述統計分析であり、待機児童問題の実態を示すとともに、今後のより高度な計量経済分析のための基礎研究である。安藤・古市・宮崎(2020)は、明治期の地方財政の動態を統計的に検証したものであり、今後の財政調整制度や補助金制度の影響を検証するための基礎研究でもある。安藤・浦川(2021)は、居住貧困の所得勾配を検証した論文である。Ando,Furuichi,Kaneko(forthcoming)は日本の介護保険導入の女性就業への影響をOECDデータを用いて推定したものである。Ando,Furukawa,Nakata,Sumiya(2020)はコロナ禍における2020年度前半の日本の財政的対応を整理・検証したものである。 また学会・セミナー報告論文としては、戦後の幼稚園拡大が少年犯罪などに与えた影響を分析したAndo,Mori,Yamaguchi(未発表)やコロナ禍の雇用ショックが自殺や現金給付に与えた影響を分析したAndo&Furuichi(WP)の2本がある。後者は失業と自殺の関係のより詳細な分析のほか、社会保障制度の自殺抑制効果などの検討に繋がる研究である。
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