研究課題/領域番号 |
20K01738
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
岡村 和明 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (70325398)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 世代間衡平 / 実証的厚生分析 |
研究実績の概要 |
2020年度は、次年度以降の本格的な研究に向けた準備期間と位置づけられる。本年度については次年度の本格作業に向けて、以下の2点について準備作業を進めた。まず第1は、交付申請の「研究の目的」に記載されているメイン・テーマ「世代間の衡平性」の分析対象を就職氷河期に直面した世代とそうでない世代の間の経済的・厚生的衡平に絞った点である。具体的には、就職氷河期世代に関する国内の主要な先行研究を整理し、本研究で使用するデータ、および先行研究と比較してより高度な手法を用いた推定モデルを確定した。第2点は、世代間の経済的・厚生的衡平を損なう具体的な要因として“健康”を取り上げ、ある時点における健康状態の変化が長期的な世代間経済格差に及ぼす影響をより厳密なコントロールの下で分析するプロジェクトを立ち上げた点である。具体的には、プロジェクトメンバーである研究協力者と議論を重ね、使用するデータおよび推定モデルを確定した。 上記の2つの研究テーマは、いずれも国内では殆ど例のない取り組みである点で、大きな意義・重要性を有する。まず第1のテーマについては、就職氷河期に直面した世代とそうでない世代の間の経済的・厚生的衡平を実現する政策目標を実証的に明らかにするという新奇の試みであり、分析手法も既存の応用研究における制約を克服するものとなっている。第2のテーマは、海外の最新の研究成果に改良を加えて国内のデータに応用する研究であり、国内はもとより、海外の先行研究に対しても重要な貢献をなしうる潜在的価値を有する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
先述の2つの研究プロジェクト:「就職氷河期に直面した世代とそうでない世代の間の経済的・厚生的衡平」「ある時点における健康状態の変化が長期的な世代間経済格差に及ぼす影響」、いずれについても(1)先行研究の整理、(2)分析に使用するデータの確定、(3)推定モデルの確定、の全てが完了しており、研究協力者間の意見交換も継続している。研究協力者間の意見交換の過程で、当初予定していなかった第2の分析を行うことになった点は、「当初の計画以上に進展している」という評価に値すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、先述の2つの研究プロジェクト:「就職氷河期に直面した世代とそうでない世代の間の経済的・厚生的衡平」「ある時点における健康状態の変化が長期的な世代間経済格差に及ぼす影響」を順次、着実に進めていく。まず手始めに、使用するデータの利用申請を行い、データが利用可能となり次第、研究協力者との連携の下、分析作業を進めていく。年度内に研究成果を2本の論文としてまとめることが目標である。
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