研究課題
再発回数ゼロの比率がサンプル総数の80%を超えており、そのゼロに一度も再発しなかった患者と再発が観察されなかった患者が含まれている。このサンプル特性に留意し、観察されない患者の異質性がもたらす再発回数の過剰分散に焦点を当てた分析を行った。正しく再発を計測できなかった要因を見極めるため、私は、zero-inflated negative binomial modelsを推定した。再発回数の決定要因モデルの推定結果に基づいて、1日あたりのゴロゴロもしくはボーっとした時間の長さが再発回数の過剰分散を減らし、再発回数の正確な計測に寄与することに加えて、前週の午前の紫外線摂取量の増加が再発回数を減らすことをKumagai et al. (2021) において明らかにした。Panel VAR モデルによる予測モデル(Kumagai et al., 2019)は「長時間睡眠」が再発のリスクであることを見出したが、このモデルは「長時間睡眠」と「ゴロゴロ,ボーッと」の関係を明らかにできなかった。これを踏まえて、再発回数の過剰分散に注意を払うモデルを用いた解析により、「長時間睡眠」と「ゴロゴロ,ボーッと」の関係を考慮し、臨床経験に基づく仮説を検証して「ゴロゴロ,ボーッと」のうつ病の再発回数に与える影響を分析できたことを、熊谷ほか(2021)に著した。他方、就労者や妻といった複数の役割を持つ中年女性の健康損失が等価世帯所得の1.47倍であることを明らかにしたKumagai (2021)の掲載が21年4月に決定した。この論文の分析結果は、夫が掃除などの家事労働をシェアすることで配偶者の健康損失を減らせることを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
Kumagai et al.(2021)とKumagai(2021)が英文査読誌に掲載されたから。
住民が居住する自治体特有の効果や人々の生活習慣の変化を考慮して、介護保険サービスを利用可能な高齢者を研究対象とし、医療・介護保険のサービス利用によって高齢者の主観的健康感が高くなる効果を正確に計測する。
Covid-19の感染拡大下、EuHea2020@Osloが開催中止となり、渡航費として用いる研究費を繰り越した。国内で開催の研究会も非開催となり、国内旅費用の研究費を繰り越した。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
PLOS ONE
巻: 16(5) ページ: e0251468
10.1371/journal.pone.0251468
Psychiatry Research
巻: 300 ページ: 113919, 113925
10.1016/j.psychres.2021.113919
医療経済研究
巻: 32(2) ページ: 78, 89
10.24742/jhep.2020.06