本研究では,FinTechに代表される昨今の金融技術の発展が市場参加者の厚生や価格の情報効率性にどのような影響を与えるのかを分析するために理論モデルを構築した.特に,既存の理論研究と実証研究で高頻度取引などの最新の金融技術に対する評価が異なる点に着目し,2つの結果の解釈をつなぐことができる理論結果を導出することで新しい知見や金融規制に対する示唆を与えることを目指した.そのためにマーケット・マイクロストラクチャーと呼ばれる分野の理論や手法を用いて,市場制度や参加者の特性を明示的にモデル上で表現することで上記目的を満たす理論結果を導出できた.
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