研究実績の概要 |
本研究では,近年飛躍的な進展を遂げている情報技術を通じ資産価格評価のための分析基盤・分析の枠組みを確立し,その利点・課題を明らかにすることを試みる. 本年度においては,企業のコーポレートガバナンスに関する分析のため,国内上場企業を中心に企業属性データベースの拡張を行った.企業属性としては,企業の財務指標に加え,企業の役員構成に関するデータ,知的財産に関するデータ,企業の買収案件に関するデータおよび企業活動に関するデータなどを対象とした.複数のデータソースのデータを一つに取りまとめるため名寄せ等データベースの精緻化に取り組んだ。また,分析に必要となる資産価格データの収集整理も実施した.更に,現実の資産価格評価に関する活動の調査のために,金融市場参加者へのヒアリング調査もあわせて実施した. 分析においては,機械学習手法を通じ企業役員構成等のデータ分析に取り組み,企業の利益率に焦点を当て,研究を行った.分析の結果,(1) 企業の役員構成を対象としたネットワーク分析により国内企業は複数のグループに分けられること,(2) 各グループに属する企業の利益率に違いがみられることなど,興味深い結果を見出している.また,本年度は,企業の買収における企業属性と企業のイノベーション活動との関連性などについても基礎的な分析を実施している. これらの研究成果の一部は,Empirical Economics, SN Business & Economics, 証券アナリストジャーナル,計測自動制御学会論文集, Smart Innovation, Systems and Technologies, Springer, 情報処理学会 第84回全国大会,計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会,人工知能学会 経営課題にAIを! ビジネス・インフォマティクス研究会などにおいて報告を行っている.
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