研究課題/領域番号 |
20K01753
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
鯉渕 賢 中央大学, 商学部, 教授 (60361672)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | M&A / セグメント情報 / インボイス通貨 / 為替リスク管理 |
研究実績の概要 |
研究期間の2年目となる2021年度は、1編の英語学術論文(共著)を査読付きディスカッションペーパーとして公表し、1冊の日本語書籍(共著)を出版した。 2021年9月に公刊した日本語書籍は、日本の製造業の上場企業のインボイス通貨選択と為替リスク管理について過去10年以上に渡って行ってきた研究を他の共同研究者と共に企業の財務担当者や政策当局者及び一般の読者に向けてまとめたものであり、日本企業のグローバル化の論点を多く含んでいる。 2021年11月に(独)経済産業研究所から公刊された英語学術論文は、日本の製造業の中堅中小企業を対象として実施したアンケート調査結果を用いて、非上場の輸出企業のインボイス通貨選択と為替リスク管理の実態を初めて明らかにした。この研究成果は、共著者によって2021年日本金融学会秋季大会(オンライン開催)にて報告された。 このように研究期間2年目においては、日本の上場企業と非上場企業の輸出企業のインボイス通貨選択と為替リスク管理という、コーポレートファイナンス及び国際金融上の重要論点について研究成果を得ることができた。 他方、輸出行動と並んで日本企業によるグローバル化の原動力である海外企業買収もしくはクロスボーダーM&Aについては、上場企業のセグメント情報を用いて、セグメント単位の生産性の変化を計測する新たな手法の開発段階にある。また、コロナ禍において日本企業による海外企業買収は一時休止したものの、現在、再び回復基調にあり、これらの最新の事例を盛り込む作業を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、1編の英語学術論文と1冊の日本語書籍を公刊することができた。海外企業買収の買収後パフォーマンスを計測する研究については生産性の変化を計測する手法を確立しつつあり、3年目に学術論文として完成させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
海外企業買収の買収後パフォーマンスを計測する研究については生産性の変化を計測する手法を確立しつつあり、3年目に学術論文として完成させる予定である。日本企業の為替リスク管理とインボイス通貨選択の研究については、引き続き、製造業の上場企業(大企業)と中堅中小企業の双方について、新たなアンケート調査を実施し、学術論文として公刊する予定である。また、これまでディスカッションペーパーとして公表した学術論文について査読付国際学術誌への投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主にコロナ禍による国際学会等への出張が行われなかったことによる研究費の残額であるが、今後は、再開された対面での国際学会への出張経費に充当することや、研究データベースの購入など研究遂行に必要不可欠な経費へ充当する計画である。
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