1.不確実な確率下での期待効用理論EUUP(Expectetd Utility with Uncertain Probablities)の下での新たな曖昧性測度を開発し,それを用いて,純粋に曖昧性がポートフォリオ選択問題へ与える影響を比較を用いて求めた. 2.既存の曖昧性下の意思決定モデルである滑らかな曖昧性モデル(smooth model of ambiguity)を参照点依存に拡張し,それをもとに気質効果が発現するのか数値計算によって確かめた.これにより,従来の曖昧性を考慮しない,確率を既知とするモデルと比較しして,気質効果が強く現れることを確かめた.純粋交換経済において,各経済参加者がEUUPの下で消費と将来価値が曖昧である資産選択を行うとした場合の,均衡での資産価値を導出した. 3.EUUPに基づき,純粋に曖昧性の資産選択に与える影響を取り出し,それに基づいて比較静学を行うことによって,市場参加者パズル,エクイティ・プレミアム・パズル,状態価格密度パズルといった従来のファイナンス理論では説明の付かなかったいくつかのファイナンス・アノマリーと呼ばれるものの発現を説明し得ることを示した. 4従来のリスク下でのプロスペクト理論に加えて,損失に関しては曖昧愛好的かつ利益に対しては,愛会回避とする参照点依存EUUPを用いることによって,気質効果が説明できることを数値計算で示した.また,その際,曖昧性に対する意思決定者の態度を表すパラメータについて,気質効果が発現するか否かの閾値を導出した. 以上の1から4が本研究課題の当該研究機関における成果であり,1と2は国際学術誌に掲載され,3,4については,学会発表を行い,現在,然るべき国際学術誌に投稿中である.
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