研究最終年度であった今年度は、これまで積み上げてきた研究結果を論文として完成させ、学術雑誌に投稿することを目標に計画を立てた。本研究は、財政と経常収支問題が併存する経済背景や条件を計量分析により明らかにすることを目的としている。海外研究者を含む3人の共同研究であるが、これまでは主に日本在住研究者で進めてきた。英国在住研究協力者とはオンラインでコミュニケーションを取りながら、コメントをもとに研究を改善することに努めた。すでに、理論モデルの構築は完成していたので、モデル推定と結果の解釈の改善が今年度の主な課題であった。 本研究開始時期は新型コロナの蔓延と重複し、研究開始から2年間、本研究応募当初に計画していた海外出張は全て実行することができなかった。しかし、日本政府の水際対策の緩和により、今年度は英国出張も可能となった。滞在時間を最大限に活用し、共著者や関連研究を行っている研究者と意見交換を行った。具体的にはR. MacDonald教授(Glasgow大学)、J. Byrne教授、J. Darby教授、S. McIntyre教授(以上Strathclyde大学)などである。所属大学から長期海外派遣を許可されていたが、大学業務等の関連で、2回に分けて英国を訪問した。 そして、本研究結果は2022年6月に英国のMonetary Frameworks (https://monetaryframeworks.org/)で引用され広く世界に周知された。このサイトは英国の金融政策が専門のD. Cobham教授(Heriot-Watt大学)が管理されており、本研究で用いたデータの一部を作成した研究者でもある。
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